NOVEL【サーフィンゲーム】
□第2章―謎の男と見知らぬ街@―
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焼けるのを待っている間、何もすることがなく、変な不安に襲われた。
何の変哲もない、いつも通りの朝を過ごせば、余計なことを考えずに済む気がしたので、ステレオにお気に入りのCDを入れる。
休日の朝は、ジャズを聞きながらコーヒーを飲んでゆっくり過ごすのが、風音の楽しみだった。
ジャズの音色が心を癒す。
気持ち良く音楽に浸っていると、チンという音が鳴った。
パンが焼けたのだ。
その直後に、茜と律子も起きてきた。
「おはよう」
茜は大きな欠伸をしながらリビングに入ってきた。
「おはよう。そこにパンがあるからチョコなりジャムなりつけて好きなように食べなよ」
風音はおいしそうにチーズパンを頬張る。
そして食べながら「そういや、昨日の寝る前のこと覚えてる?」と聞いた。
「何か昨日はいつのまにか寝ちゃってましたね。布団に入った記憶がないです」
律子がパンをトーストに入れながら答える。
律子の言葉に続くように、茜が「俺も」と言った。