NOVEL【サーフィンゲーム】
□第2章―謎の男と見知らぬ街A―
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歩いて5分のところにある、少し高いキリンの形をした滑り台がある小さな公園。
そこが、“家から1番近い公園”だった。
だから、そこに集合するものばかりだと思っていた。
そう、今家を出る前までは。
「何これ……」
家を出て、すぐ目の前にあったのは、見知らぬ公園だった。
少し広めで、遊具はブランコしかなくて、殺風景。
公園と言うよりは、広場に近かった。
見知らぬ公園に驚き、周りを見渡してみるが、そこも見慣れない住宅街が続いていた。
「その公園が集合場所ですよ」
後ろから声がして、振り向くと知らない男が立っていた。
男は長い前髪の隙間から少し眼を覗かせて驚く風音を見た。
風音が驚いたのは、男がそこに立っていたことだけじゃなく、後ろにあったはずの家さえ消えていて真っ直ぐな道が続いていた。
そして、男はニヤリと笑い、公園を指差して、もう一度「その公園が集合場所ですよ」と言った。