NOVEL【サーフィンゲーム】
□第1章―招待状@―
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プルルルルルル……
プルルルルルル……
電話の音で目を覚ます。
毎朝4つの目覚まし時計と携帯電話のアラームを鳴らしても起きられない私も、この電話の音には勝てない。
うちの固定電話機はただでさえ音が大きいのに、その子機が何故か私の部屋の枕元に置かれているのだ。
目を覚まさないはずがない。
誰もいないのか、電話の音は鳴り止まない。
どうせセールスだろうと、少しうるさいのを我慢して、鳴り止むのを待った。
やっと鳴り止んだので、ため息をつき、もう一度眠りに就こうとすると、また鳴りはじめた。
大きく舌打ちをし、渋々電話に出る。
「……はい、もしもし」
低い声の私とは裏腹に、電話の向こうからは聞き慣れた甲高い声が聞こえた。
「もしもし、風音?母さんだけど。今日は珍しく起きてたのね」
「……家、誰もいないし。電話、うるさいから起きたの」
早く電話を切って二度寝をしたい。
早く切りたい、早く。
風音の頭の中はそのことでいっぱいだった。
「なあに、茜いないの?じゃあ、あんたでいいわ。父さんと母さん、また長期出張なのよ。今晩から長崎に行くんだけど、会社からそのまま行こうと思ってるの。てことで、いつも通り荷物を持って来てちょうだい」
「……はあ?」
その言葉と共に風音の眉間にしわが寄った。