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□僕と君との決定的な違い
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歩くたびに揺れる茶色とか、

ふにゃってした笑顔とか。


「ブン太!」


俺の名を呼ぶその声も



全部、好きだ。









「なんだよぃ結衣」

「えへへ…じゃん!新作の苺チョコ!ちなみにコンビニ限定っ」

「おわ、俺より先に手に入れたのかよ!一口くれよ」

「心配しなくてもあげますー。私はブン太と違って食い意地はってないし!」




いつもとなんら変わらない朝の教室。俺と結衣は席が前後で、俗に言う親友。
だからこうして毎朝お菓子を食べたりたわいもない話をして過ごす。





…そう、ただの親友。

少なくとも結衣からしたらそうだろう。





でも、俺は違う。

俺は好きだ。結衣が好きだ。

でも結衣にとって俺はずっと親友のままなんだろう。でも、俺は。俺はもうこのままは辛い。



「ん、どしたのブン太。珍しく考え事?」

「あー…まあそんなとこ。てか珍しくは余計だっつの」

「明日はきっと槍が降るねー」

「あ、お前今すっげー失礼なこと言った」






あはは、と笑う結衣。

また、ひとつ。
その表情や仕草に惹かれていく。





「…なぁ、結衣」

「ん?」

「好きだ」






少し、間が開いて。


内心、何言ってんだ俺という焦りとどうしようって気持ちで混乱状態。

…あと、こいつの反応も。


勇気を振り絞ってちらっと結衣を見る。





そしたら結衣は、満面の笑顔で



「私もブン太好きだよ」



そう言った。




一瞬ドキッとした。
高鳴りだす自分の胸。


もしかしたら、って。




「どうしたの今更。私がブン太好きなんて当たり前じゃん!」




(…何勘違いしてんだ俺)


買ってきた苺チョコを食べながら
どうしたの?とゆうような顔でこちらを覗いてくる。




「…なんでもねぇよぃ!」



本当何勘違いしてんだ。

わかってる。わかってんだそれくらい。



僕と君との決定的な違い。



(わかってる。)
(俺の好きと君の好きは)
(意味が違うんだ。)
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