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□遠恋
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「遠く離れても、簡単に会えなくなっても、オレ、ずっとずっと大好きです」
「僕も。ずっと君だけを愛してる」
『ずっと恋人でいよう』
…そう約束して、別れた。
遠恋 (えんれん)
九代目の容体が急変した。
その知らせを受けて、高校二年に進学したばかりのオレは、急遽十代目ボスに就任するために、日本を離れることになった。
すぐに守護者の皆にも連絡が行って、話し合いをした。
獄寺君やランボはもともとマフィアで、オレと一緒に渡伊。それと、クロームも一緒に来てくれることになった。
山本は、高校を卒業後、イタリアに渡ると言ってくれた。オレが勝手に巻き込んだのに『一緒に行けなくてごめん』って言われた時は、泣きそうだった。
お兄さんも卒業までは日本に残る。
そしてヒバリさん…最強の守護者で、オレの恋人でもある彼が選んだのも、日本。
ただし、彼は卒業しても、イタリアに来るつもりはないと言った。
並盛を愛し、束縛を嫌うヒバリさん。その答えは、十分予想できたものだった。
さらに彼は、既に並盛中学校風紀委員を前身とした風紀財団を作り上げていた。
そのトップが日本を離れるはずがない。
寧ろ、守護者を辞めると言わなかったことの方が驚きだった。
出発直前に、ヒバリさんと二人きりで話をした。
不安、だったから。
* * * *
「明日、ですね。お別れ…」
「そうだね」
「電話、しますね!いっぱい!」
「別にいいけど、ちゃんと時差考えてかけてきてね」
「う。そう、ですね…」
そうだ。イタリアと日本には7時間の時差がある。
「…そんなあからさまに落ち込まなくても、メールすればいいでしょ」
「は、はい!じゃあメールしますね!!」
「うん」
「返事、くれますか?」
「気が向いたらね」
「え、ひどっ!ヒバリさん、オレがいなくなっても寂しくないんですか!?」
「別に」
「えー…」
こういう人だから、不安になるんだ。
「…ねぇ、綱吉」
少しの沈黙の後、ヒバリさんがオレの名前を呼んだ。
「なんですか…?」
「僕は、君と離れ離れになることを選んだ。だけど、それでも、君は僕と恋人でいてくれる?僕を好きでいてくれる?」
彼はまっすぐオレを見つめていた。
目を見れば分かる。不安なんて一瞬で消えてなくなる。
オレは、この人に、愛されている…
「はい。遠く離れても、簡単に会えなくなっても、オレ、ずっとずっと大好きです」
「僕も。ずっと君だけを愛してる」
* * * *
そして、オレとヒバリさんは、遠く離れても変わらない愛を誓って、ずっと恋人であることを約束して、離れ離れになった。
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