novel
□泣かない泣き虫
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カンクロウは、目を丸くした。
見間違いかと思い、何度もそれを確認する。が、やはり書いてある文字は変わらない。
今回の任務の班構成の内に、我愛羅の名前が載っていたのだ。
泣かない泣き虫
我愛羅が姉兄から離れ、砂隠れの一人の忍として任務を開始してまだ一月経っていなかった。
というのに、もう自分がこちらに配属されたということは、上の役人達が我愛羅の扱いに手を焼いているということだろう。
カンクロウは込み上げてくるものを溜息をに変えて零した。
我愛羅の変化に誰よりも早く気づいたカンクロウとテマリは、少しずつではあるが、弟との距離を縮めようと日々努力をしてきているというのに、上役達はその変化に気づくこともなく、我愛羅を持て余している。いや、気づいてはいるが、対処が面倒で目をつむっているといった所か。
どちらにしろ、カンクロウは怒りを覚えた。モタモタしている上役達にも、過去の自分達にも。
「…大丈夫、平気じゃん。我愛羅なら。」
カンクロウは、ぐしゃ、とプリントされた班の構成表を手で握った。