novel
□なかま
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四方から殺気がする。
同じ小隊の隊員を逃がすことに成功したが、気付けば、回りは砂隠れの忍ばかりだった。しかし、そこに味方は、一人もいない。
なかま
「水分を含んだ砂は結合を弱め、防御を解き、鎧を剥がす。その成りでは攻撃もままならんなあ、我愛羅」
砂の上からチャクラ糸で縛られ散々水をかけられたお陰で、我愛羅の体は普段の何倍もの重量を持ち、思うように動かない。
「俺も嘗められたものだ。こんな攻撃で俺が殺されるとでも……っ!?」
我愛羅はホルダーに入っていたクナイで糸を切ろうとしたが、急に体がドクン、と脈打ち電流が流れたかのような感覚に陥った。
(…?なん、だ?)
クナイを握ろうとすると、膜が張ったかのように手が痺れて上手く握れない。それどころか、砂や衣服といったような小さな摩擦も、敏感になった神経は全て掬いあげる。
「やっと効果が出てきたか。鈍感な奴だ。」
どういうことだ、と目線をあげると男は得意げに言った。
「お前が被ったその水はただの水じゃない。強力な媚薬を何倍かに薄めた特別な代物だ。しばらくは体を動かすこともできん!」
すると、糸を引く手に力が入り先程よりも強い力で締め付けられた。普段は気にならないような服のザラザラとした感触が肌を這う。そのうち立っていられなくなり、我愛羅は砂に寄り掛かるようにして倒れ込んだ。