極短編
□銀時君と愉快な仲間逹7
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「銀時、お散歩にでも行きませんか?」
「行く!!」
銀時は嬉しそうに笑って、松陽に抱き付いた。
松陽は銀時の小さな体を抱え上げ上着を着せる。
「せんせ、どこいくの?」
「そうですね…山にでも行きましょうか」
先生、それは散歩じゃないです。
桂と坂本と高杉は頬を引きつらせながら、その言葉を何とか引っ込めた。
理由は至って簡単かつ単純。
あの親馬鹿スマイルをもう見たくないからである。
「……先生、襟巻き忘れてます」
高杉があくまで冷静に松陽に声を掛ける。
「そうですよね、銀時が風邪をひいては可哀想ですからね」
高杉は親馬鹿発言に対し、放っておこう精神で松陽から視線を逸らし教本の頁を捲った。
「先生、これなに?」
「これは襟巻きといいます。ほら、首が暖かいでしょう?」
「うん!!」
「ああもう!!何でお前はこんなに可愛いんですかぁ!!!」
「「「…………」」」
三人は見ないように見ないように、ひたすら教本に視線を向けていた。
見たら最後、暫くは胸焼けに悩まされるだろう。
「じゃあ行ってきますね」
「行ってきまーす!!」
「「「いってらっしゃい…」」」
やっと出て行った二人に、三人は溜め息を溢し、その背中を見つめた。
本当疲れるけど
あの二人が倖せなら
それでいいかもしれない
―END―