Raccogli un Pezzo
□Ep.1
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× × ×
「何か居るな」
同伴者全員が肯定する。
それもその筈、先程からまるで隠すつもりは無いのであろう殺気が館内を覆い尽くしていた。
しかしその主とは鉢合わせない…それも妙な話だった。
「アタシ等に向いてるけど、アタシ等に向けてる訳じゃ無いんだろうね」
恐らく彼女の言う通りなのだろう。
普段と何ら変わらない仕事の予定だった。未だ殺しが無い事が珍しいというだけの単純な仕事。それがまさかこの様な展開になるとは誰も想像していなかった。というのも、想定外であるこの殺気は館外には一切及んでいない。つまり侵入するまで誰一人としてこの殺気に気付かなかったのだ。
「マチ、この主探して連れて来いよ」
「はぁ?アタシに言うな。アンタが行けばいいだろ」
「察しろよ、フィンは怖いんだって」
「シャルてめェ殺すぞ」
小競り合いが始まる中、渦中のマチが尋ねた。
「で、団長。どうすんの?始末するのか引き上げるのか」
そこでクロロは思案する。
当然だが目的の宝は頂くつもりでいる。しかし、本来の主旨以上に殺気の主に対し非常に興味を抱き始めている様だった。
「マチ、フィンと組んで元凶を捕らえて来い。シャルとフェイは俺に着け」
「おいおい、まさか連れて帰る気かよ?」
「了解。シズクはどうする?」
不服を現すフィンに対し従順なマチ。
館外で警戒に当たっているシズクの掃除機は、そろそろ出番といった所だろう。
「呼び出そう。推測だが、ここは警備が薄いんじゃない。恐らく…」
クロロが言い終わる前に、ここに来て初めて一つの気配を皆が察知する。
全員で見守る中奥の廊下から現れたのは、片腕を無くし全身至る所から出血しながら辛うじて自力で歩く男だった。
「た…助、けてくれ…ッ!!」
それが唯一の生き残りであったのだろうが、次いで現れた人影によって男は音も無く事切れた。
「アレだね、主は」
マチの言葉に皆身構え、男の頭部が床に転げ落ちる。その光景にフェイは一人薄ら笑いを浮かべていた。
「殺すな、生け捕りにしろ。行くぞ」
「「「「了解」」」」
全員が走り出したのと同時に襲い掛かって来たのは、若い女だった。刹那、垣間見たそれは未だ幼さが残る顔立ち。そしてクロロは耳にした。女の物とは思えない程ドスが利き、殺気から窺えた"怯え"を含んだ…
『 み ん な て き だ 』
酷く淋し気で悲痛な声が。
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