小説

□第2章〜馬鹿の取り扱い説明書募集中〜
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*華月side*

小テストが終わった。
少し難しい問題ではあったけど、9割は取れているだろう。
向こうの方から何人か大して興味もない男共が寄ってくる。


「華月さん、いきなり小テスト、びっくりしたよね!俺全然分かんなかったよ〜。ね、今度さ勉強教えてくれない?」


下心丸出しの醜い男共。にやにや笑って、気持ち悪い。


あなた達が私とつりあうとでも思ってるの?


「ああ、私もびっくりしました。勉強が分からないのでしたら、私なんかより先生に聞いた方が賢明だと思います。分からない所を熱心に先生に教わる人って、素敵ですよね。」


こう言って柔らかく微笑んでやれば、男共は我先にと先生の所へ行った。
そう、微笑んでつつましくさえしていれば、男女も誰もが騙されてくれる。
素直で、優しくて、上品な華月美羽。
私を知る誰もが、そう思っている。


中には本当はあの子裏があるのよなんて噂する人だっているけれど、そんなの所詮は下等生物。私には関係無い。


それより何より、さっきの遥本先生の豹変ぶりは面白かった。
あの千鶴ちゃん、先生とはどんな関係なの?
ながらく感じることのなかった興味と、好奇心と、高揚感。


ああ、あの2人で、遊べるかしら。


きっとすごく楽しくて、すごくいじりがいがあって、面白い玩具になるだろう。
2人のキューピッドになるのも良いかも知れない。
そう、そうだ、キューピッドになれば良い。


真っ黒なキューピッドになって2人を結べば良い。


「キューピッドって、私にすごく似合うと思わない?」
小さく呟いて、微笑む。


「千鶴ちゃんとお友達になりたいわ」
これから起こす出来事を考えて、私はまた、微笑んだ。
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