薔薇
□通話機越しのコンフォート
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そして、時間は11時に差し掛かった頃
「…………」
「小室、明日帰るんだから用意しとけよ」
「あ、はい!!」
ずっとホテルのロビーで携帯を弄っていた俺に一言かけてくれる仲間達
そんな人達と比べるのはどうかと思うんだけど
(テラさんなら…もっと……)
ずっと今頃自宅のマンションにいるだろう愛しい人を思う
携帯を弄ってるのはテラさんに電話をかけるか迷っているからなのだが……
(迷惑、だろーなー…)
ボスっともう誰も居なくなったロビーのソファに崩れる
携帯の画面は"寺内さん"への通話準備画面で止まっている
(11時だしなぁ〜、てかかけてどうすっべー)
うぅー、とソファに埋もれバタバタと足を動かす
少なからず傷心しているのだ
そんな時に恋人の声を聞きたいと思うのは、
(…当たり前だと、思いたい…)
じぃ、と画面を見つめているとパッと切り替わる画面
この前大阪Gの公式サイトでダウンロードしたガンガンの着信画面の下には
「て、ててて、て、テラさん!!!!???」
思わずソファから落ちる勢いで起き上がる
いや、落ちてないけど
若干震える手で携帯を握り通話ボタンを押す
「テラ、さんスか…?」
「俺以外、誰がいんだよ…」
聞こえてきたのは、聞きたかった
優しい声色だった
*