薔薇

□通話機越しのコンフォート
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「…!!!!」

《あー!!鉄壁の五輪代表ディフェンスが遂に破られたー!!!日本失点!!!》



「小室、気にすんな、しゃあねぇだろ、1失点くれぇ」
「浅香、さん、…分かってます…」



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《試合終了ー!!!日本、二点差を守りきり勝利を収めました!!!》


「……」
「…小室、勝ったんだ。あんなマグレな失点気にすんなって」
「…」



今日は日本がオリンピックに行けるか大事な一戦

五輪でもDFを務めてる俺は世間では五輪代表の鉄壁のディフェンスなんて騒がれて

それに恥じないよう、自分が1対1に当たった相手に失点をさせた事はない


それが今回
違う選手が蹴った球だったとして、

それが自分の1対1の相手の脚に当たって軌道が変わって入ったシュートだったとしても



「…入れさせたのは、俺の責任なんだよなー…」



今はインタビューに浅香さんが答えてる頃だろう



「小室ー」
「あ、はい?」
「インタビュー、次だってよ」
「俺が、スか?」



インタビュー終わりの浅香さんが俺の背中をポンと叩いてロッカールームに戻っていった



(俺が、インタビューかぁ…)



あんまり腑に落ちないけれど日本で応援してくれているファンに一言くらい、と思いテレビカメラに歩を進めた



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