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□帰りみち
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ほんと、敵わないよな。

昔も今も。

あんたといるときは
ポーカーフェイスで有名な俺もすぐ馬鹿になって。
キャラなんて1秒で崩壊する。
なに考えてるのかわかんないのが売りのにのちゃんなのに。
自分でもイタイなって思ってるよ。


でもさぁ
そんな時間がいちばん幸せな訳よ。

どんなに難しいゲームがクリアしたときよりも、あんたが一瞬、笑ってくれるだけで嬉しいわけ。


ほんと困っちゃいますよね。


今日なんて、

帰りの車が大野さんと2人きりだってうきうきしてたら、

スタッフさんに、
今日なんかあるの?って聞かれちゃうくらい。

そしたらね翔ちゃんが、車乗せてーって。


…がっかり。
したのが表情には出てないはず。
だって演技派戦士のにのちゃんだから。


翔ちゃんのことは大好きなんだよ。
面白いしかっこいいし、俺にめちゃめちゃ優しいのよ。



そんな翔ちゃんにがっかり。なんて思っちゃって、罪悪感。


このがっかり。が大野さんにばれたのがいちばん最悪。


「にの、翔くんとなんかあったのかぁ?」

なんて耳打ちしてくるから

顔が近いよ。
耳がぶわって赤くなって
妙にどきどきした。

ほんとに俺って、
大野さんのこととなると
計算とか駆け引きとかまるで駄目で。

あんたが俺のこと好きな自信なんてまるでないから…


お前と2人きりで帰りたかった


なんてぜーったい言えねえよ。

っていうか言ってやんない!ばーか!
 

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