ポケモン非公式の小説
□第七章
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フレンドリーショップの店長はかなり気前がいい。
野宿ばかりだったユヤにすれば、宿に泊まれるだけでありがたいものなのに、フレンドリーショップの店長からもらったチケットの宿は和をかなり極めた本格的な宿だった。出迎えてくれたのは着物に頭をきれいにまとめた女性たちだったし、宿には縁側があり、ちょろちょろと涼やか川の音と鹿威しの音が風流な雰囲気を漂わせた。庭は枯山水様式で、水面に見立てた白い砂模様が綺麗だった。
「たっかそーな宿だね」とミアがユヤに耳打ちする。
「ほんと」とユヤは応える。
ミアはリーフィアを肩にのせて歩かせることは出来たが、アブソルを歩かせてつやつやな廊下を傷つけるわけにはいかないし、さすがに肩に乗せることもできない。ということでモンスターボールに戻っていてもらっている。
ユヤはアブソルのモンスターボールを指で撫でた。
「ポケモンさん、大切にしているんですねぇ」と部屋を案内する従業員の女性がユヤに声をかけた。
「まあ…」
「ここの宿はバトルも許されているから、特定の場所ならポケモンさんを出していただいても大丈夫ですよ。客室でなら歩かせてもバトルをなさってくださっても大丈夫ですか
らね。」
「へぇ〜。ぐちゃぐちゃにならないですか?」とミアが訊ねる。
「それくらいなんてことないですよ。ここはポケモンさんとトレーナーさんのための宿なんですから」
「へー、なかなか言えることじゃないね」
「ふふ、楽しんでいってくださいね」
ユヤとミアは案内された部屋を見て、「広い」と同時に呟いた。「わあ」とミアは笑って、駆け足で部屋に入る。靴を脱ぎ捨てて畳の上をくるくるっ回る。リーフィアはミアの肩から降りて、畳の上できゅーと鳴いた。