ポケモン非公式の小説

□第六章
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長く続く森を抜けて、ユヤたちはスナコタウンへとたどり着いた。


スナコタウンは緑に囲まれた町。暗色の茶色の木造の家が沢山並んでいる。


檜のいい香りが風で流されてきた。


その辺にはチェリムという桃色の植物のポケモンや、エネコという猫の姿をした、どちらも女の子に人気のあるポケモンがいる。


ミアはポケモンを見て大興奮だった。


ユヤとアブソルはいつものように自分たちのペースで町を歩き、休憩場所を探していた。


アブソルは耳をピクピクと動かし、何かを気にしているようだった。


後ろを振り返れば、木陰に赤い狐の耳が飛び出している。


さっきのロコンだろう。スナコタウンまできていたらしい。


かといって気にする必要もない。


「何か食べるか?」とユヤがアブソルに訊ねる。



アブソルはいつものごとく、ふいっと顔を背ける。ただ、歩く姿に気品があり、粗野な態度には見えない。




「お前の好きそうなもの、肉か?フレンドリーショップにでもよるか」ユヤはそう言ってフレンドリーショップを探し、すぐにフレンドリーショップの目立つ看板を発見する。


フレンドリーショップはみんなによく愛用される店だ。
モンスターボールや、傷薬、そういったトレーナーの必需品がそろっている。


そこにはポケモンの餌もあるはずだ。


ユヤはガラスの自動ドアをくぐり、きれいにものが整頓された店内を眺める。
レジカウンターのとなりには大きな映像板があり、ニュース番組が放送されている。


ニュースでは、トレーナーが襲われている、ジムリーダー狙われる、ポケモン誘拐事件、などという内容のものが流れていた。


映された映像の中には、破壊された家があった。まるでユヤの家のようだ。


ユヤはニュースを見て青空団とかいう組織を思い出す。
ヤカタ博士が言っていた最近問題を起こしている集団だ。


「……………」ユヤがぼーっとニュースを見ている隣で、アブソルも映像から目を離さずに眺めていた。


ユヤはそれに気がつき、「アブソル?」と声を掛ける。


ニュースを見ているのか。内容が分かっているのだろうか。
そうであるなら、そうとう知能が高い。


しかし、アブソルが利口であるということも分かっている。


「面倒な事件だな」ユヤがアブソルに声を掛け、「悪いけど、外で待っててくれるか?ミアのそばにいてくれ。室内をお前みたいにでかいポケモンが歩いてたら周りの人間が驚くかもしれないからな」と言う。


アブソルは言うことを聞き入れることもなく、ユヤのベルトについているモンスターボールのボタンを鼻先でつつき、自らボールの中に戻る。
ユヤは「…そう」とため息を吐きながらアブソルが入ったボールに呟く。


たぶん、人の会話につき合わされるのがいやなんだろう。分からなくもない。


ユヤは店の中にあるフードコーナーを眺め、アブソルやヒンバスに合いそうなものを探す。

そこにはかっこよさを上げるお菓子だとか、美しさを上げるお菓子だとか、よく分からないお菓子から、栄養満点のモーモーミルクなどが置かれている。


渋い実からできたポフィンと書いてあるお菓子を手に取り、ヒンバスを思い浮かべる。


ヒンバスは甘いものより、こっちのほうがよさそうだ。

ユヤはヒンバスの顔を思い出し、甘いって顔じゃないよな、と感じる。


…アブソルはもともと、お菓子って感じじゃない。
アブソルは…「肉」ユヤはつぶやいて、戦利金でアブソルとヒンバスの餌を買った。



ユヤは店内にあるソファーに座り、自販機でサイコソーダを買った。ヒンバスが水ポケモンであることを思い出し、おいしい水も大量に買い込みして、モンスターボールを改造した収納用カプセルにしまった。

 
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