ポケモン非公式の小説
□第四章
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ユヤはアブソルとともにフジタウンへと山を降りた。
町へくると、人々がアブソルに注目する。大きさからか、それともわざわいポケモンであることを恐れてか、とにかく視線を浴びる。
ユヤ自身は、そういった偏見や差別の目というのはあまり気にしない質だった。
しかし、アブソルが気にするのではないかと、ユヤはアブソルを見る。
アブソルは暴れることも、人々を睨むこともなく、人々の目など気にせず気高く歩く。
アブソルは始めの暴れ者のイメージとは大分違った。
すでにユヤの中では、アブソルの荒れた印象は書き換えられ、クールで品のあるイメージへと変わっていた。
トレーナーがつくと、ポケモンとは落ち着くものなのだろうか。
研究所の前まで来て、ユヤはここがヤカタ博士の研究所であることを確認する。
看板には、ヤカタ博士の名前がしっかりと書かれている。
ユヤがインターフォンを鳴らすとすぐに、「はい」という声がした。
「あの。届けものが」とだけ言うと、すぐに扉が開く。
そこから出てきたのは、博士の助手らしき女の人だった。白衣を着た、20代半ば頃の綺麗な女性。
彼女は髪を後頭部に纏めているが、髪の束が幾つか肩に垂れていて、それがなんとも色っぽい。
「あれ、随分若いお客さん。届けものって?」
彼女にそう言われ、ユヤは拾った手紙を彼女に渡す。
「拾った手紙。」
「へぇー。あれ?これシオンに取りに行くように言ってた手紙じゃない。ありがとね。そのためにわざわざ来てくれたの?」
「いや、それついで。ポケモン図鑑貰いに」
ユヤが淡々とそう言うと、彼女は半分呆れ顔で「野心丸出しの子供ねー。ストレートでびっくりよ」と応える。
「下手に遠回しで言うよりいいかな、と思って」
そう言うと、彼女は笑った。
「新米トレーナー?」と問いながら、アブソルの姿を見つけ、「ではなさそうね」と言い直す。
「トレーナーじゃないよ。こいつは昨日捕まえたんだけど、逃がしてやるつもり」
「なんで?」
「俺の方が死にそうだったし、仕方なく捕まえたんだ。」
ユヤの言葉に、彼女はユヤの包帯や傷を見て「みたいね」と応える。
「面白い。中で話し聞かせて」彼女はそう言ってユヤとアブソルを中へと案内した。
中は大きな機械で一杯だった。見たことのない機械、本。
ユヤの興味をそそる物が沢山あって、彼は目を輝かせる。
「機械に興味があるの?」
「うん、まぁ。博士っていないの?」ユヤが研究室の中を見渡して言うと、「私が博士よ」と彼女が言う。
「えっ?」
ユヤは驚いた表情で博士と名乗る目の前の女を見る。
「博士って、ヤカタ博士?」ユヤはそう言いながら彼女を指差す。
「そうよ。」
「男だと思ってたよ」
しかも、こんなに若いだなんて思いもしない。
「それは残念だったわね。待ってて、いまコーヒー入れるから。」
ヤカタ博士はそう言ってユヤにコーヒーを用意し、「貴方にはこれね」とアブソルにミルクを用意する。
「それで?この子どうやって捕まえたの?」
ユヤはヤカタ博士に経緯を全て話す。森での出会い、戦い、アブソルを逃がしてやる約束、スピアーから逃げる時に助けてもらったこと。
アブソルはその間にミルクを全て飲み終え、床に寝ていた。
「生身で戦うなんて度胸あるわね、君。でもなめてちゃダメよ、ポケモンを。ポケモンはスピアーのように毒を持っていることもあるし、ノーマル、炎、水、雷、氷、草、エスパー、ゴースト、悪、格闘、飛行、岩、地面、鋼、ドラゴン…色んな種類のポケモンがいて、色んな技を使う。ポケモン同士死ぬことだってあるし、人間が巻き込まれて無事なほうが可笑しい。本当は護衛のためにもポケモンは連れておいたほうがいいんだけどね。」
「こいつとはもう約束してあるし、それはできないよ」