LONG

□NUCLEOTIDE CHAIN ーTo err is human ー
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過つは人の常, 許すは神の心…


 To err is human, to forgive divine.


* * * * *




「蔵馬ぁ、もう少しで隣街だ」


「ああ。魔王の本隊と今直接対決してるところだ。気を付けていこう…」



行動を開始し、隣街を目指して1週間。

隣街は発展都市で有名であり
魔王本隊との攻防戦が行われているという情報を途中の村で耳にした。


年齢が近いためか、村で出会った二人の戦士、ミリーとタリーとはすぐに親しくなった。

それでも、必要なこと以外は話さず
三人とも互いに自然とそれなりの距離をとっていた。

あくまで目的は、魔王を討ち負かし戦火を鎮めること。



今考えると“闘う”という事に自信がある訳ではなかった。

何せ平和な村で育った俺。
彼らだって同じだ。
小さな紛争ひとつない、平穏な暮らしをしていた俺たちは
“闘う”という実践経験があまりに少なすぎる。

冷静になって言えば、不思議な力を持たない彼らと魔王を討つことが可能なのか。



隣街へ一歩近付く度に、そんな不安が募っていった。


もちろん、彼らに戦闘に自信がないことを伝えていないが
きっと彼らも同じ気持ちに違いないと思った。



仲間を捨てる覚悟も必要かもしれない
いつしかそんなことすら思うようにさえなっていた。
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