-Novel-
□スポットライト
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音楽は好きですか?
「え?何聞くのいきなり。好きだからバンドやってんじゃん」
本当に好きですか?
「だから、何度も言わせるなっての」
あなたには才能がありますか?
「そ、それは…まだ、分からないけど…」
あなたは音楽で何をしたいと思っていますか?
「だからうるせえんだ!」
◇◆◆◆◇◆◆◆◇◇
「ヒビキ、うるさい」
隣から不機嫌な声が聞こえた。
「今リハーサル中、よって私語禁止。もちろん居眠りも禁止」
「あ、トール…ごめん…」
僕が謝ると、トールは軽く頷いただけでドラムセットにすわり、寸止めで練習を始めた。
やっぱり怒っているのか、一言も口をきいてくれない。
落ち込んで肩を落とすと、背後からぽん、と背中を叩かれた。
「気にすんなって、最近バイトも忙しいし、寝られる時に寝ておけよ」
「でも…イッサだって寝てないじゃないか」
「俺は元々体力宇宙だからいいんだよ。ヒビキは体が資本なんだからさ」
「さすが、ベーシストは言う事がしっかりしてるな」
トールは少し皮肉を込めたのか、スティックで指でくるくると器用に回転させながら笑った。
「あ、言ったなてめえ!」
「あはは」
こりゃかなわん、と言った調子でトールは逃げ出した。
それを追いかけるイッサ。
これが、僕達の日常。