お話1

□舞い落ちたのは悪魔か天使か
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地上からすべてのエイリア石が無くなり数日。イナズマキャラバンに乗っていた各地のメンバーは故郷へはすぐに帰らず、暫し東京にて穏やかな時を過ごしていた。


「吹雪」

「ぁ、豪炎寺くん」

キャラバンメンバーのほとんどが円堂による東京観光へと向かった中、一人別行動で鉄塔広場に来ていた吹雪は偶然にも後からやって来た豪炎寺と鉢合わせた。

「何してるんだ、こんな所で」

「ううん、特に何も……ただボーっとしてただけだよ」

「そうか」

広場に据え付けられたベンチに腰掛けていた吹雪は、人一人分座れるスペースを空けて座り直した。

そして吹雪が自分を見て微笑んだのを確認すると、豪炎寺はその空いたスペースにゆっくりと腰掛けた。

「豪炎寺くんこそどうしたの?」

「え?」

吹雪からの問い掛けに豪炎寺は首を傾げた。

「てっきりキャプテンと一緒に行ったのかと思ってた」

「別に……観光しなくても元から東京住みだからな」

「でも鬼道くんや風丸くんはついていったよ?」

「あいつらは……」

そこまで言いかけてやめた豪炎寺に、吹雪はクスリと微笑をもらした。

「キャプテンのお目付役……って、ところかな?」

「吹雪……」

自らが言い淀んだことをストレートに表現した吹雪に、豪炎寺は苦笑をもらした。

「あれ、じゃあ何で豪炎寺くんは此処に来たの?」

「吹雪は何で此処に来たんだ?」

「もう、質問を質問で返さないでよ。僕はただ何となくだってば」

「じゃあ俺も何となくだ」

「じゃあって……」

何とも曖昧な返事をする豪炎寺に今度は吹雪が苦笑をもらした。

と、その時である。


 ポツっ


「ん?」


 ポツっ、ポツっ


「あれ……?」


 ポツっポツっポツっポツっ


 ザアァァー……


雨が降ってきた。


「ぇー、さっきまで晴れてたのに」

「通り雨かもしれないな……あそこで雨宿りするか」

そう言った豪炎寺が指さした場所には鉄塔小屋があった。






「ふぅ、すっかり濡れちゃったね」

「寒い時期じゃないんだ、すぐ乾くだろう」

言いながら豪炎寺は着ていた雷門ジャージの上着を脱ぎ、適当にそこらに引っ掛けた。

降り続ける雨は今の所止む気配を見せない。

「ねぇ。一つ聞いてもいいかな?」

「何だ?」

「豪炎寺くんて雨男?」

「……」

「だって、前も豪炎寺くんといたら雨降ってきたし」


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