天才達の賛美歌「短編」

□疑問
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世の中には、できのいい人間とそうでない人間が存在している。


私は後者だ。


できのよさは勉強というツールで図られる。


勉強ができればできるほど社会から信頼され認められる。


逆に勉強ができなければできないほど見下され社会から除外される。


私にとって勉強とは忌々しいものでしかない。


あるときは、1つの問題に宇宙を見た。


あるときは、1つの問題を物として見た。


またあるときは、1つの問題を生き物として見た。


だがしかしどれも、一瞬に過ぎなかった。


私は、わけのわからない方程式を解くよりももっとわけのわからない世界を作るほうが楽しかった。


他人が作ったもの。


他人が決めたこと。


そんなものに没頭するよりも、自分で決めたこと作ったことに没頭するほうが数万倍楽しかった。


私は、人一倍謙虚さと素直さを持ち合わせていない人間として最低なやつなのだ。


勉強をしない。


勉強がわからない。


たったそれだけなのに、たったそれだけのことができないお前は無能なんだとののしられた。


けれど私は思うのだ。


この世界には無能も有能もないのではないかと。


善も悪もすべて人間自身が作りあげた虚無に過ぎないのだ。


勝手な自己満足に浸っているのは私だけじゃないんじゃないか?


上も下もない。


人間は所詮下の下の下以下の下等生物に過ぎない。


それなのに粋がって、調子に乗っている。


そんな下等生物の一種である私はなんて最悪なのだろうか。


そして、こんなにも壮大な屁理屈を述べて矛盾だらけの行動を起こしている私はいったい何なのだろうか。


こんな私なんて・・・。


「死んだほうがいい。」


いつまでこうしていればいいの?


「あなたが、気が付くまで」


何に?


「何かに」


何かって?


「それは、シークレットよ。」


どうして?


「その何かがあなたの気が付いていないものだから。」


・・・・・・・。


「大丈夫。あなたならきっと見つけられるわ。」


・・・・・・・。











綺麗なブロンドの髪の男の子は言いました。


「何が何でも1番になりたい!」


その深く美しい青色の瞳はゆるぎない闘争心で燃えていました。


私には、彼の気持ちが分かりませんでした。


私は、男の子に言いました。


「勝利してなんになるのだろうか?負けて悔しくても次があるじゃないか。」


男の子は言いました。


「君には闘争心のかけらもないね。そんなんじゃ世の中やっていけないよ。」


「・・・・・。」


私は何もいえませんでした。


男の子はさらに言いました。


「L見たいに頭がよかったら、沢山の人の役に立てるんだ。1番になればそれだけ沢山の人を救えるのさ。」


「2番でも沢山の人が救えるよ?」


私がそういうと男の子はあきれた顔をしました。


「君は何にも分かってないんだね。いいかい?世界には何十億もの人が生きているんだ。
確かに、1番に救える人間の数も2番に救える人間の数も限られてる。
だけど、1番のほうが2番よりはるかに優れてるんだ。
何故なら、1番のほうがそれだけ救える人間の数も多いからね。」


「人間を救うことができる人間は優れてるの?」


「あったりまえだろ!スーパーマンみたいなものさ!!
ドジなヒーローより何でもできる完璧なヒーローのほうがかっこいいじゃないか!」


男の子は目をきらきらさせながら言いました。


「君は、完璧なヒーローになりたいの?」


「うん!いつか、絶対に誰よりも優れた人間になって見せるのさ!そのときは僕が君のことを救ってあげるよ。」


「私を救う?何から?」


「わからない。でも、困ったときは僕が君のスーパーマンになってあげる!」


そのとき、心の奥のほうがぽかぽかしたような気がしました。


「約束ね。」


「うん!約束!!」


沢山の人を救うために勉強をする。


私の中にまた新しい考えが芽生えました。
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