詩A

□過去から生まれた感情
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君がいなくなる夢を見た

あのコがいなくなったあの時の
傷口がまたジクジクと痛み出した

きっと誰もが
感じたことのある
「悲しい」という感情を
蒸し返しては苦しくなる



涙で目の前の景色が歪む

暗く冷たい部屋でただ独り
癒えきらない傷をそっとなぞって

何かを失うたび
何も欲しくはないと
偽りの感情を並べても
孤独は受け入れられなくて



向けられる笑顔も
腕の中の温もりも
優しさ溢れる声も
君の全てがあのコに重なる

頬を濡らした雫を拭う君に
すがりついてしまう弱ささえ
君は許してくれるけど


過去の傷が
刃となって突き刺さる
抜け出せない感情に
いつまでも捕らわれて

この感情がなくなることは
ないだろうけれど

今はもう追いつけない
あのコの影よりも
大切な君との時間を
大事にするから

あの夢が現実にならないように
願っているから

だから―――



―――そばにいて





END

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