小説

□恋人絶対宣言!!
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しんっ…と静かな部屋に2人の男
普通ならむさ苦しいだろうが、片方は花
ある意味凄いいい感じの空気になっても問題はないだろうが…

「・・・」
「なぁ、って」

ご機嫌斜めの俺の恋人は一言も口を聞いてくれなかった

「立向井ー、どうしたんだ?」
「・・・」

完全に無視
さっきから似たようなやりとりが永遠と続き俺はちょっと心が折れそうだ
でもつーん、としている顔も可愛い
さすがにそんなことも言えず、理由を聞こうとこうして1時間半ほど粘っていた

・・・もうすぐ、飯の時間か?
そんなことを立向井の部屋の時計を見て思った

「綱海さん」
「っ!!なんだ?!」
「もうすぐ御飯の時間なので行ったらどうですか?」

やっと話した立向井にちょっと期待したが、あまりにも簡単に玉砕されてしまった
当たって砕ける前に壊された様な気がする

やっぱり…アレだよな?
でも違ったら分からなくなるしなぁ
もしそうだと、立向井のが…
そんな格闘を繰り返してやっと口に出した言葉


「…怒って、る?」

マネージャーのゼリーかな、とか…

そんな淡い期待なのか理解しているつもりなりの回答なのか
俺はそうであって欲しいことを聞いたのかもしれない

「・・・最低」

しかし、期待はあっさりと崩されて立向井の目に涙が溜まりだす

「わ、悪い!俺まだ、お前のこと…」

男が言い訳なんてみっともないと思う
でも今することはそれくらいしか見つからなかった
立向井の顔は段々赤くなっていって、ついに頬に涙が流る

「立向井、お…」
「綱海さん!」

涙声で止められると、目がふっと合う
怒っているような泣いているような表情で抱きつかれた

「……っ?!」
「僕、綱海さんのこと大好きです!」


は?何だ?これ…
泣きじゃくりながら立向井は続けた

「好きで、好きでっ、駄目なんです!今までもずっとこうしたかった!」
「・・・」
「でも!迷惑かかるし…ゼリー食べてる綱海さん見てたら…不安にっ」


何か、どうも可愛くて可愛くて仕方がない
このまま襲っても良いけど…
その前にやることがある
泣きついていた立向井を剥がしてそのまま腕に抱えて食堂まで駆け下りた
立向井の「何してるんですか?!」っていう声が聞こえるが今は無視させて貰う
とりあえず今は…遠慮せずに言わせてもらうことにした

食堂前で立向井を降ろしてドアを思いっきり開ける
その音で中にいた人全員がこっちを向いた



ちゅっ


『……』

沈黙が走る

俺はきょとんとしている立向井から顔を離してニカッと笑った


恋人絶対宣言!!

(・・・)(好きだ、勇気)




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