小説

□おやすみできないチュウ
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お日様園の時、オレはこんなことを思っていた
年齢に歳の差なんて関係ない
なんておかしいよね?
オレはそう思う

だから、恋することには
年齢なんてなんて関係は無いんだよ


「っ…ひろとぉ」

オレがもう就寝時間を過ぎた頃聞こえた声は泣いているのか震えている聞き慣れた声
眠りかけていた瞼を擦って無理矢理開けるとぽろぽろと涙を流す緑川がいた
なんとなく分かっていたけれどパジャマの端でその涙を拭きながら泣いている理由を聞いた

「どう、したの?」
「ふぇ、あのねっ…といれ、こわい…」
「・・・そっか、じゃあ着いていくよ」
「…ありがとう」


よかった、起こされたのがオレで…
少し安心して布団から出た
他の奴らに緑川の珍しい涙の顔なんて見せたくない

緑川は降ろした髪でオレの横を引っ付いてお手洗い場所まで歩く
2人とも素足、しかも薄着のパジャマで今の時期では少し寒い
そして緑川も見ると少し寒そうだった

「緑川、寒い?」
「べつに…大丈夫、だよ」

どう考えても震えてる声に少し苦笑した
こういうやせ我慢ばかりするな、といつも思う
転けたときも、悪口言われたときも、怒られたときだって
みんながいるときはいつだって泣かなかった
だから、オレだけ見せてくれる本当は泣き虫で臆病な緑川がとっても可愛くて

妙な独占欲ができてしまっていた


「大丈夫じゃないよ」
「ふぁっ」

緑川の手を掴んで指を絡ませる
指先は冷たくてオレなんかよりずっと寒かったはずだ

「ほら、寒かったんでしょ?」
「・・・」
「ちょっとはこれで温かいかな?」


そうきくと緑川は少し顔を背けて握る手の力を強くした

「ちょっと、だけ」
「ならこのままいこ」

そうして無言のまま緑川のお手洗いをすまして緑川の部屋まで連れていった
一年歳が違うだけで部屋が違うなんて少しおかしいと思ったりする

「ヒロト、ありがと」
「どういたしまして」

緑川はにこっと笑ってパッと手を離した
握っていた手は温かかったのに、少し湿っているところが温度を奪っていく
もっと、繋いでいたかったと思うけど夜は遅い
寝ないといけないのに、どうしても「お休み」という言葉に抵抗があった


「・・・ヒロト」
「なに?」
「おやすみっ」

ガバッと緑川がアップで映るのが分かった
そして体温と同時に頬に柔らかいものが触れる
一瞬で離れていく温度はドアを開けてすぐに見えなくなっていった


・・・やばい、可愛い

おやすみのちゅーなんて不意打ちすぎて反応の仕方が分からない
しかし、それ以上に頬についた柔らかさが名残惜しい


どうしよう…寝れないかも

ドキドキする心臓を押さえて自分の部屋に歩いていった


おやすみできないチュウ

(2人とも、寝不足?)
((…眠れませんでした/…眠れなかった))



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