小説

□美味しいお菓子はどうですか?
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オレはどうツッコめばいいのだろう…
目の前に出された緑色の物をみて

こう、呟いた


「・・・レーゼ?」
「ち、違うに決まってるだろ!!」

頬を赤くして反論してくる緑川
緑川にとってはレーゼ時代の話は黒歴史
暗黙の了解で誰も口にはしない

けど、オレの場合は弄りがいのあるネタ
別に緑川がそれだけで怒るなんて思ってないから

そして出されたのは、緑色のモンブラン
あの時の緑川と同じだから妙に懐かしい気がする


「・・・緑川が作ったの?」
「うん…」

そしてフイッと横を向いて前にそのお菓子を押し出した
頬を赤く染めて小さい声で呟く


「練習、付き合ってくれて…ありがと」
「・・・どういたしまして」

そういって席を立つ
近くにあったほうの手首を掴んで手前に引っ張って
赤くなった頬に軽く口付ける
それでさらに赤くなった顔がこっちを向いた

「ッ……馬鹿!」
「馬鹿なら、キスして良いの?」
「…っ」

柔らかい唇に甘噛みするように口つけて柔らかい感触を味わった
舌を入れようとすると、珍しく緑川の手が胸板を押す


「どうしたの?」
「…ケーキ、食べてない」


・・・バレた

食べずに過ごそうと思ったのが間違いだった
でも緑川だったら別に、スルーしてくれると思ったんだけど…

駄目だ、正直食べたくない
嫌な汗が出てる…

緑川はお世辞に美味しいと言える事さえ浮かばないくらい料理が下手である
昔食べたことがあるが…アレは不思議な味がした



「・・・後で食べるよ」
「ヤダ、今食べて」

少し上目遣いでうるうるした目で見てくる
本当に、マズイ状況だ

「さっき色々食べちゃって」
「一口でいい、から…」
「・・・っ」
「・・・ヤダ?」

食べないと彼氏として、いけない気がするが
でも、試合前に体調を崩すのは…マズイ

そんなことを思っていると緑川は俺の腕から抜けて
あのモンブランのところまで行って三口食べた


「ちょっ!!」

緑川も試合前なのにッ

肩を掴んで前を向かせると口に甘ったるい味がした
目の前に映るいつもの顔
潤んだ目が近くみ見えている
口の中には抹茶クリームの甘さが広がった

・・・美味しい

オレは舌を伸ばして緑川とのキスを堪能した
お互い味を惜しむように舌を絡ませる

少しして、離してやると息が少し上がった緑川がいて
半分怒ったような表情をしていた


「・・・美味しかったよ、リュウジ」
「っ!!」
「ごめんね…食べるの渋ったりして」
「・・・ばか、成長してない訳じゃないんだからな」

でも嬉しいというのはバレバレで、口元は緩んでいた


美味しいお子はどうですか?

(でも、緑川も欲しいんだけど…)
(試合近いから駄目)




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