小説
□在り続ける幸福
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
好きだ
俺はお前を愛してる…
ふっと抱きしめあえた
温かい感覚は、長くは続かない
そういうことは知っていたのに
「･･･」
佐久間が、あんなに泣きそうになる
俺が頭を撫でてやるとその手を払ってキッと睨んだ
「俺は、お前だ大嫌いだ」
そう言って後ろを向く
微かに震えてる肩が妙に目立っているのが分かった
あんなに頑張って、俺を守ろうとする佐久間はいつもより小さく見える
「…あぁ、知ってたさ」
「二度と俺に関わるなよ…っ！」
段々と後に成る度に震える声
今俺が佐久間を捕まえれば顔面を叩かれるだろう
そして佐久間は、きっと日本代表を降りる
「・・・源田」
「何だ？」
「俺のこと、嫌いだよな？」
今俺は元恋人の拳は強く握られていた
どうしようもなく顔が見たい
あの愛おしくて、素直じゃない表情を俺の目に焼き付けておきたい
「あぁ、大好きだ」
パァッン!!
俺は叩かれた頬をさすりながら苦笑した
一筋の涙を零した佐久間の目は思っていたよりも潤んでいる
「頑張れよ」
「当たり前だ!!」
佐久間は目の端に溜めた雫を力強く拭って言った
「…馬鹿、嫌いなんて言わせるなよ」
佐久間の頭を自分の胸につけて強く抱きしめる
まだ震えている体は、弱々しくて
支えたいと思う自分が図々しく感じた
俺にはもう、佐久間を支えれないのか…
「・・・っ好きだよ、源田ぁ」
「俺も、好きだ」
お互い振り返らない、と決めた
お互いを、愛し続けると決めたから
在り続ける幸福
((・・・何やってるのかな))
NEXTあとがき
.