零崎叶織の人間人生―ニンゲンライフ―
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「キャァァァァァァ!」
叫び声が響き渡る。
「なに!?」
「どないしたんや!?」
「何事だ!」
バンっと音を立てて入ってくるR陣は部屋を見渡して唖然とした。
「あーぁ、やっちゃった」
「刹那…?」
R陣の目の前に広がる光景。それは…
頭からドリンクを被ってビショビショの刹那と無惨にも広がるドリンクの数々。
「ど、どないしたんや?」
忍足はあたた、と腰をさすっている刹那の近くによると、スッと彼女を立たせる。
「さっきの悲鳴は…お前か?」
跡部が険しい顔でそう聞いた。
「うん、いやー、ドリンクを持ってこうとしたらスベってこう…」
「ドバーッと、ですか」
「チョタロ正解」
えへへ、と笑う刹那にフワリとタオルが投げられる。
「ったく、激ダサだぜ。心配かけんなよ」
「あはは、宍戸ありがとう」
そう言って刹那が微笑むと照れたように別に、と言う宍戸。
大層な悲鳴をあげといてケロリとしている本人に全員ホッとしたような力が抜けたような気がして同じようにため息をつく。
「刹那ちゃんおどかさなで欲しいC〜」
「面目ないです…」
「どうもないならいいぜ」
練習に戻るぞ、と言う跡部の掛け声で忍足以外の全員がぞろぞろと部屋を出て行く。
「跡部、俺はこっち手伝ってから戻るわ」
「…まぁいいだろ、いくぞ樺地!」
「ウッス」
バタリとドアを閉めて二人は出て行く。
「侑士、大丈夫だから」
「どこがや、ベトベトやんか」
「本当に、大丈夫、だから、さ」
有無を言わさぬ目で刹那は忍足を黙らせて、部屋から追い出し、素早く片付けを済ませ自分も宍戸からもらったタオルで拭くとすぐそばのロッカーを開けた。