人間シリーズ
□彼女が愛しすぎる
2ページ/6ページ
〜アスside〜
「はぁ…」
誰もいない部屋で、俺はため息をこぼした。
原因は俺の“妹”である##NAM1##。
彼女は突然、俺を好きだといった。
驚いた。
俺も叶織が好きだったから。もちろん、一人の女として。
暴君よりも、誰よりも。
でもそれは…
「だめなんだっちゃよ」
俺たちは家賊で兄妹だ。
確かに血はつながってはいないが。
だめなんだ。
家賊だとか、兄妹だとか、相手が高校生だからだとかではなく、“俺”が駄目なんだ。
もしも、彼女の思いを受け入れてしまったら、
もしも、彼女とこれ以上の関係になってしまったら、
俺は…何をしでかすかわからない。
彼女に、叶織Nに何をしてしまうか。
独占欲のせいで叶織を壊してしまいそうで怖い。
独占欲のせいで叶織に幻滅されそうで怖い。
だったら、壊してしまう前に、醜い俺に幻滅される前に、綺麗なまま嫌われるほうが、兄のままでいるほうがいい。
その方が…いいのだ。