...

□桜舞う日に
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骸は雲雀の言葉に驚き組んでいた腕をほどいてそのまま口にあてがった

おそらくあの手の下は雲雀の言葉で緩みきっているのだろう

そんなワタワタしている骸をみてクスリと笑い言葉を発した


「桜が舞っている青空がね・・・
とても綺麗で落ち着くんだ」

「っ///!!
僕、は、好きな人と歩く桜並木が好きです」

「そう」


一瞬自分のことを好きと言われたのかと自惚れてしまった骸は
恥ずかしさのあまり俯いてしまった

雲雀はそんな骸を気にかけず歩いていく

距離は人が1人はいるくらいの距離間

そんな距離がもどかしくなったのか骸は少しだけ駆けて距離を縮めようとした

だけど柄にもないことをしてしまったためつまずき雲雀に倒れこみ
抱きとめられる

言うまでもなく雲雀の両手が離れた自転車は
骸のかわりに地面へと大きな音をたて倒れた


「っ、大丈夫かい?」

「すみません、」

「柄にもないことするからだよ」

「だって少しでも近くにいたかったんです」

「だったら君は策士だね」

「?」

「ほら」


雲雀はぎゅっと腕に力を込めた

骸は抱きとめられているのに気づいていなかったみたいだった


「あ、いや、そんなつもりじゃ」

「クスクス、冗談
僕が勝手に抱きとめただけだよ」

「・・・・・・・」

「それにこのほうがいい」


意味のわからない雲雀の言葉に骸の頭には?マークが浮かんでいる


「上をみてごらん」

言われるがままに上をみあげるとそこには一面の桜並木が広がっていた


「綺麗だろ?」

「はい」

「僕も好きな人とみる桜が好きでね」

「え?」


意味深な雲雀の言葉に戸惑いの色を隠せなかった骸

雲雀は薄っすらと骸に微笑みかけた


「僕は素直じゃないんだ」
―だけど今日だけ、


そう言って雲雀は骸の青紫色の髪を梳き
いまだに戸惑う骸の耳元で


「・・・・・・好きだよ、骸」


囁いた

みるみる赤くなっていく骸に雲雀は問いかけた


「君は?」


口をパクパクさせる骸は顔が真っ赤


「っ///!!
僕も雲雀君が好きです///」


骸がそう言ったらまるで2人を祝福するかのように
風がふき桜が舞った

2人は顔を見合わせ微笑んだ

それはもう花が綻ぶようなものだった


「骸」

「雲雀君」



お互いの気持ちがわかった2人は再び腕を組み

桜並木のなかへときえていった


end


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