恋患い

□貴方の理性はhow much?
1ページ/3ページ

お、お、落ち着けレイラ


もう一度冷静になって見てみるんだ


きっとこれは何かの間違いだ


某有名な高級ホテルの食べ放題を目前に控えて、財布の中身がすっからかんな訳がない


諭吉なんて贅沢は言わない。せめて一目で良いから樋口が拝めたら…



「……野口すらない」


あるのは数えるほどしかない小銭だけ


これぞまさしく金欠だ


休みの度に全国各地のチャレンジメニューに挑みまくってたのが悪いのか?


嗚呼…でも、次々においしい情報がやってくる


しかも今回のは滅多にないビッグチャンス


三年先まで予約が埋まってる人気ビュッフェが一般で食べ放題なんて、これを逃したら一生食えない


だけど軍資金がない!!


どうする?誰かに借りる?


地道に家の手伝いでもして貯める?いや、それじゃ間に合わない


誰かウチに食べ物の為に貢ぐ金を貢いでください











「はぁ…」

「美々?」

「ハァー…」

「なに、この頃ずっと溜め息ばっかついてるけど何かあったのか?」

「…なんでもない」

「なんでもない訳ないだろ。最近変だよ?」

「ちょっと景ちゃんとの事で考えてただけ」

「おっ、遂に別れる決心ついたのか?いい傾向だ」

「いやいや別れないから」

「違うのか?一体何があったんだ?」

「………景ちゃんが分からない」

「え?」


金策も思い付かずに嘆いていると、すぐ傍で溜め息ばかりを洩らしている美々が気になって声を掛けた


数日前から何か思い悩んでるみたいでボーッとしてる事が多かったから心配だった


何を悩んでるのか知りたくて問い詰めてみると返ってきた言葉に驚愕


こんなにもこの子を悩ませてるアイツが憎い


もし何らかの形で傷付けられたのならウチが倍返しにしてやる


「アイツに何かされたの?」

「逆に何もされな過ぎて悩んでるの」

「あんなに溺愛されててマジで何もないの?最後にキスしたのっていつ?」

「うーん、何時だったかな…一ヶ月めでやっと手を繋いでくれたくらいだから」

「嘘だろ…なに考えてんだよあの野郎」

「レイラと付き合ってた時はやっぱり何かしらあったでしょ?」

「まぁ、それなりには…今では黒歴史だけど」

「普通はそうだよね。景ちゃんって本当はあたしの事、そんなに好きじゃないのかな……」

「美々…」


あり得ない。マジであり得ない


今すぐぶん殴ってやりたいレベル


逆に何で何もしないで居られるんだよ



「前からちょと攻めてるんだけど乗ってこないんだよねぇ…あたしって魅力ないのかな?」

「いや、アイツの頭が空っぽなだけだろ」


勿体無いなー…ヘタレに成り下がっても美々の気持ちが変わらないのが不思議でならない


アイツの事だから美々に嫌われたくない一心で我慢してるけど頭の中では色々やってるに違いない


その下心をウチの軍資金集めに使えないだろうか


この子の純粋な心を利用するのは心苦しいけど、巧くいけば二人の距離も縮む


相手があのヘタレってのが癪だけど儲けが出ればデカ盛りライフが潤う!この子も幸せになるから問題なし!


「美々っ協定を組もう!」

「え?」

「アイツの気持ちが知りたいんだろ?だからちょっと実験に付き合ってくれない?」

「う、うん。分かった」


危なくなったら助ければ良いし。見てろよ奥手ヤロー


次いでだから晶と小悪魔ちゃんのバカップルにも協力してもらうかな


お前等の下心を金に変えてやる!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ