恋患い

□憂鬱な雨
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「はぁー…まだ降るの…」


朝から降り止まない雨に晶はうんざり


ほぼ一日中降っている雨は6限目が終わった今もなお続いている


何時もなら体育館で演劇部は稽古をしているが、今日に限って他の部等にスペースを奪われる


昼休みに体育館を巡って抽選会が行われたが演劇部は外れてしまった


昨日まではあんなに晴れていたのに


晶は雨の日が特別好きではなかった


制服や髪は湿気により被害を受けるし、帰りがけに寄る最近お気に入りのクレープ屋さんも雨の日は営業していない


そして何より思いっきりテニスをする大好きな彼の姿も見られない


しかも今日は珍しく寝坊して、兄に送ってもらったは良いが遅刻ギリギリで傘も忘れて悲惨な日


天気予報なんて見る余裕もなかったよ…


薄暗い空を窓越しに見上げながら溜め息を洩らしていれば



「あれー?晶部活は?」


不意に聞こえた愛しい声に振り返れば目を擦りながらぼんやりした表情で此方を見ているジローが居た


まさに寝起きといった感じで大きな欠伸をしている


幼馴染みで長年互いに想い合っていた同士で、念願叶って付き合い始めたのは去年のバレンタイン


ぼんやりホワホワ系なジローを支えるしっかり者な晶


うっかり傘を忘れたなんて情けなくて口が避けても言えない
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