恋患い
□目的はアナタ
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「ねぇ日吉君」
「何ですか?」
「何時も練習見に来てくれてるけどさ、部活の方は平気なの?」
「え?俺の方は全然大丈夫ですが…迷惑でしたか?」
「うぅん、そんなんじゃないの。毎日熱心に通ってくれて嬉しいし?ちょっと心配になっただけだよ」
練習の合間を縫って稽古を観に行くのが俺の日課
毎日の楽しみ
俺は好きで通って居る
「大丈夫ですよ先輩、練習にもちゃんとついていけてますし」
「そう?だったら良いの。お休みの日以外は来てくれてるからさ、誰かお目当ての人が居たりするの?」
「え…」
「あ、その反応は居るんだ?誰?」
「そ、それは…」
まさかの問いに俺の全機能が一斉に硬直した
お目当ては誰かって…
そんなの決まってる
「あの、主演の…」
「ジュリエット役の娘?レイラと張るくらい美人で有名だもんね、憧れる気持ちは分かるよ」
「……え?」
「その娘もね、実は日吉君のこと可愛いって言ってたよ?脈ありかもね!」
「や、違っ…」
「?」
確かにあのジュリエット役の先輩は綺麗な人だ
でも、俺が見ていたのはあの人じゃなくて…
「あ、でも男の子に可愛いは失礼だったかな?ジロちゃんや向日君は例外だけど」
「……!」
「日吉君?」
「…そ、そうですよ。芥川さん達と俺は違います」
「ふふ、だよね。まあジロちゃんは特別だけどね//」
「……っ…」
特別…か
あの人の名を出せば、晶先輩は何時もの凛々しい先輩と違って女の子な先輩に戻る
幸せオーラ全開
そんな先輩を可愛く思う半面、凄く胸が痛くなる
俺はあの人には敵わない
分かってる
分かってるのに吹っ切れない
何時か俺に振り向いてくれたら…とか無謀な想いを募らせる
貴女が凄く嫌な女だったら良かったのに…なんて
「日吉君にも幸せになって貰いたいから協力するからね」
…とか、無邪気に笑う貴女
そんな笑顔にも捕らわれてしまう俺
伝えたいけど許されない
俺は特別にはなれないけど、何時でも先輩だけを見ています
目的はアナタ…なんて言えない