Ricordi ブック

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 …と、いう事で、食堂に着いたはいいんだけど…。



彩奈「何すればいいんだろう



 メニューも分からないし…、作りようが無い…。

 
 …あれ、こんな事前にもあった気が…。

 いや、前のは料理じゃなくて洗濯だったんだけど。


 にしても…どうしようかなぁ。



彩奈「う〜ん…?」


春奈「…お姉ちゃん…?」


彩奈「!春奈っ!」



 天の救いっ!



春奈「…お姉ちゃん、熱でもあるんじゃないの?大丈夫?」


彩奈「え…何で?」


春奈「だって今日はやけに早いから…」


彩奈「…あたしが早起きするのって、そんなに珍しい?」



春奈「うん(きっぱり



彩奈「あ…、そうなんだ…」



 あんまりキッパリ言われると結構ショックだなぁ…。

 うん、分かってたよ。分かってたさ。



彩奈「今日は何か目覚めちゃったんだよねぇ…。それに、あたしも何かお手伝いしないと!ね?」


春奈「お姉ちゃん…」


彩奈「へへっ!」



春奈「…ありがとう。でも朝食は私が作るよ



彩奈「Σ今までの前フリは何だったの!?」


春奈「あー…、何だろうねー?」


彩奈「流さないでぇっ;;」



 最近あたしの扱いがひどい気がする…。



彩奈「…じゃああたし、何か手伝うこと無い?」


春奈「え…。う〜〜〜〜〜〜ん…?」


彩奈「そ、そんなに悩む事?」



 手伝うだけだよ?

 何も作るって言ってる訳じゃないんだから…。



春奈「…あ、じゃあさ、このお皿にこの数だけ卵割ってくんない?」


彩奈「了解っ!よし、頑張るぞ!」


春奈「(流石に卵割るくらいなら出来るよね…?)」



 やったぁ、初任務♪

 
 たっまご、たっまご、たっまご〜♪



彩奈「トントントン♪パカッ!」


―グシャ


彩奈「…あ」


春奈「…お姉ちゃん?」


彩奈「ちょ、ちょっと失敗しちゃった;でも次は大丈夫!」


春奈「(本当かなぁ…)」



 よし、トントントン、パカッ…


―グシャ



彩奈「あ…」


春奈「お姉ちゃん、本当に…」


彩奈「だ、大丈夫だって!」



 トントントン、グシャ


 トントントン、グシャ


 トントントン、グシャ



彩奈「あ、あれ〜?」


春奈「ごめんお姉ちゃん。私やる」


彩奈「え?いいよ!春奈は他のつくtt…

春奈「やる」…あ、そう?」



 断固宣言された…。

 にしてもこの卵割りにくいなぁ…?



彩奈「その卵、割りにくいから気をつけてね!」


春奈「卵の所為じゃない…


彩奈「ん?」


春奈「…何でもないよ」



―トントントン、パカッ



彩奈「わ〜、さすが!上手だね!」


春奈「いたって普通さ」


彩奈「え〜、綺麗だよっ!」



 凄いなぁ、もう!



春奈「(中3になって卵も割れないなんて…)」


彩奈「あれ?もう終わったの?」


春奈「こんなんだけで時間とってられないからね」


彩奈「そっかぁ。あ、あたしやる事ない?」


春奈「あ〜、じゃあその卵のお皿に牛乳と砂糖混ぜてくれない?分量はそこにあるから」


彩奈「あ、うん!分かった!」



春奈「くれぐれも溢さないように溢さないようにね。」


彩奈「わ、分かってるよぉ!もう、心配性だなぁ、春奈は!」


春奈「(心配性とかの問題じゃない…)」



 春奈の心配性も困ったものだねぇ。

 わざわざ“溢さないように”って2回言うなんて…!
 

 よし、早く混ぜちゃおうっと!








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