立海2
□震える君に
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「仁王先輩仁王先輩!」
「……なんじゃ赤也」
昼休み、屋上でウトウトしていると赤也の声が響く。よく分からんが興奮気味のようだ。せっかく寝れそうだったんに…鬱陶しい。
「今度名前とデート行くんスけど…ど、どこがいいっスかね!?俺、あいつにカッコイイとこ見せたいんス!!」
「カッコイイとこ、のぅ…」
「はい!」
眠気を吹き飛ばされたからいらついていたが、話の内容が面白そうだったから許してやる。
カッコイイとこと言ってものぅ。デートで良いところ見せると言ったらさりげなく優しくするとかレディーファーストを心掛けるとかそういうひとつひとつの仕種が1番好感度が上がると思うが、そんなの赤也には無理じゃろな。
しかも赤也のキャラでカッコイイは難しい。案外めんどくさいの。
…適当なこと言っとくか。
「遊園地行けばよか」
「遊園地っスか?」
「よくあるじゃろ、お化け屋敷で怖がって彼女が抱き着いてきたり。お化けから名前を守ってやればよか」
「お、お化け屋敷っスか…」
「なんじゃ、そんな顔して…怖いんか?」
「そ、そんなわけないっスよ!!ヨユーヨユー!」
明らかに赤也の顔がひきつる。…まっことわかり易い奴じゃのぅ。
赤也がお化け屋敷が苦手なのは知っていた。ついでに名前がお化け屋敷大好きなのも知っていた。…せいぜい、恥をかきんしゃい赤也。俺の安眠を邪魔した罰じゃ。