立海2
□君のこと、教えて下さい。
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あー眠い。超眠い。とにかく眠い。
あー…寝たいっ!でも寝たらダメだっ…!
授業中、私は睡魔と戦っていた。別に昨日夜更かししたとかいう理由はない。私はいつでも眠いんです!
そしてそんな私のように、いつも眠たげにしているのが前の席の切原赤也。眠たげにしてるっていうか寝てる。特に英語の時間。
「…すー…すー……」
それはもちろん例外なく今日もだ。確か切原は英語が苦手だったはず。それなのに寝てしまうんだからその度胸を褒めてやりたいもんだ。
淋しげに開かれた電子辞書は、数分放置されたせいで画面が真っ黒になっている。
『………』
うらやましい。…チクショー、私だって寝たいんだよ!
悔しいから起こしてやる!
私は切原の背中をつんつんして刺激を送ってみた。
「すー………」
………が、無駄だった。どんだけ熟睡してるんですかこの人は。普通少しつっついたら起きるでしょ!
今度は少し強くつんつんしてみたけどこれまた無反応だった。
それなら…
『……(えいっ…!)』
「い゙っ…!!」
今度はついにあいつの背中をつねってやった。おいおい切原、つねる肉がほとんどないじゃないか!
奇妙な声を出して切原が起きた。悔しいことにあまり大きな声ではなかったため先生には気づかれなかった。
……て、先生は切原が寝てるのは見て見ぬフリだからどうでもいいか。
ふとまた電子辞書を見ると、今度は切原が後ろを向いた。どうやら電子辞書に私の姿が映っていたようだ。
「起こしたの、名前?」
もちろんという気持ちを込めて大きく頷くと、切原はしかめっつらをした。
「せっかく気持ち良く寝てたんに」
『気持ち良く寝すぎ』
そう言った後、私は前を向けという意味を込めて黒板の方を指す。切原はそれに従い前を向くと、今度は電子辞書の電源を入れた。
珍しく勉強する気でも起きたのだろうか。“珍しく”。
切原は英和辞典や和英辞典を開くことなく、なぜか広辞苑を開いた。
不思議に思ってそのまま見ていると、そこにうたれた文字を目にして再び切原をつねった。
……やっぱり肉はない。
「(いって…!何すんだよ!)」(←小声)
『(切原が辞典に名前の馬鹿なんて書くからでしょ!)』
「(な゙っ…!み、見てたのかよ!)」
『(“見えた”の!)』
「(ゔっ…)」
切原は決まり悪そうに視線をそらすと、また辞書に何か打ちはじめた。懲りないやつだなまったく!
それを見たら[ごめん]と打たれたので返事代わりにふんっと鼻で笑ってやった。
そういえば、切原のおかげで私の眠気は吹っ飛んだ。感謝せねばな!
私はそれを伝えるべく切原の背中に指で文字を書いてみた。
最初はぴくっとした切原だったけど、すぐに私が文字を書いていることに気づき背中に神経を集中させているようだった。
書き終わると、[ありがとう?]と切原が打ったからうん、という意味を込めて“○”と書いた。
[何が?]
“きりはらのおかげで”
[おかげで?]
“ねむけが”
[ふきとんだ?]
“○”
授業中に何やってんだって気もするけど、こういうのって楽しい。
やばい、はまりそう。また今度タイミングを見計らってやろうかな。
[あのさ、]
“なに?”
切原もこのやり取りを気に入ってくれたのだろうか、彼から話題を振ってきた。
[好きなんだけど]
“なにが”
[名前が]
………………。
……え、何コレ。もしかしなくても告白ですよね?…このタイミングで!?
おいおいマジですか…!
“マジですか”
[マジ]
……びっくりした、今まで切原を友達としか見たことなかったから。…まぁ、嬉しいけど。
なんて答えればいいんだろう…?
“ともだちから”
[お願いします?]
“○”
[今友達じゃね?]
“クラスメイト”
[ずーん]
『ふふっ…』
[笑うな]
“ごめん”
[けっ]
“でもうれしいよ”
[おー]
それっきり切原は電子辞書に何も打たなくなってしまった。
だから何となく先程のやり取りを思い出してみた。
……………珍しい告白をする奴だねー切原。面白い人。
てかぶっちゃけ、私と切原そこまで仲良くないのにな…。席が近いだけだし。
切原はなんで私が好きなんだろう?
あーあ、切原について何も知らないや。
もっといっぱい話してみようかな。
そんなことを考えているうちに、授業が終わった。
「そーゆーことだから」
切原は恥ずかしそうに言うと、教室を出ていった。
私は一瞬迷った後、お昼を食べはじめるみんなを横目に切原の後を追いかけた。
『切原ー!』
君のこと、教えて下さい。
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かな様に捧げます、キリ番小説でした!
苦情はかな様のみ受け付けます。
普通の告白話、彼の片思い…
うむ…どこが普通の告白話なんだ←
ごめんなさいm(__)m
きっとクラスメイトや先生はイチャイチャしてる2人が気になったでしょう(笑)
リクエストありがとうございましたm(__)m
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。