立海2
□全ては君が好きだから!
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『ねー赤也ー』
「んだよ」
『なんでそんなに怒ってるの?』
「別に怒ってねーよ」
『…嘘だー』
赤也はさっきからなぜかしかめっ面。ちなみに私は何もしていない。なのに赤也は校門を出たあたりからずっとこの調子だ
「………」
『………』
どーしろって言うんですかまったく。情緒不安定ですね。まぁそんなところも可愛いんだけどさ!!
『赤也ー?』
「…赤也って名前で呼ぶのやめてくんね?」
『なんで?恋人らしくていいじゃんっ』
「!…そ、それが嫌なんだよっ」
『………』
そう言われ、私は思わず動きを止める
ちょっと待った…。もしや私フラれる感じですかね!?とすると赤也は不機嫌なのではなく…別れ話をするタイミングが分からず困っていたと…!?
おいおいマジか!私が何をしたって言うんだよ!!こんなに赤也が大好きなのにさっ
…え、もしかしてそれがいけなかった感じ?うざい的な?
でもさ、付き合った当初赤也はそれくらいがいいって言ってたよね?
『……どうゆうことか説明していただけませんかね?』
「だから…そのままの意味だっつーの」
『私と、別れたいと?』
「はぁ!?ちげーよ何言ってんだよ!!」
すごい勢いで赤也が否定する。びっくりしたけど私はそれに心底安心した
『じゃあ、なんでよ』
「………だって、恥ずかしいだろ」
『何を今更』
「そ、そーじゃなくて!呼ばれるのには慣れたけど、周りに……こう、嫌じゃん」
『周りの人に…恋人同士と思われるのが嫌だと?』
「…嫌っつーか……。なんか、恥ずかしいっつーか……」
……え、何この子。なんでそこで恥ずかしがるの、“今更”!
しばらく付き合ってるけど今まで何も言わなかったよね!?それはおろか名前で呼べって言ったのは赤也だったし
「こないだ名前がいないとき、クラスの奴に名前で呼び合ってるのってラブラブだなー、見せ付けんなよってからかわれてよ」
『…人にからかわれるのが嫌だ、と?』
「おー。ラブラブって言われんの、なんか恥ずかしい…」
女 子 か !
そんなの、おーラブラブだぜいいだろーって流せばいいのに。恥ずかしがりなんだねまったく
それに、
『名前で呼び合うとか普通じゃない?』
「そーか?俺、名前以外の女子は苗字で呼ぶぜ」
『特殊だね。私はだいたい誰でも名前だけど』
「名前が特殊なんじゃね?」
『………』
そうなのか?……てか、名前呼びを気にするとかクラスの連中はガキだねぇ
『まぁまぁ言いたい奴には言わせておけばいーんだよっ!』
“よっ!”と言いながら私は赤也に抱き着く
「Σな、何すんだよっ!」
『抱き着いただけですが?』
私がしらっとそう答えると赤也に力ずくで引きはがされる
「そーゆーのも、やめろ」
冷たくそう言いはなたれてドクリとする。……怒らせちゃったかな…?
赤也の方を見てもそっぽを向いていて表情が確認出来ない
…うーむ、やり過ぎた?
『赤也、』
「だからそう呼ぶのはやめろって」
『…じゃあ、切原くん?』
「くんはいらねーけど…」
『はーい。抱き着くのも禁止なの?』
「禁止っつーか、…」
『もしかして恥ずかしいの?』
「………」
『…………』
ごめん、赤也。不覚にも今イラッときたよ私。付き合ってるのにハグもダメなわけ?どーゆーことですか。そんな恥ずかしがりじゃないでしょ
やっぱり別れたいんじゃないの?
『別れたいなら、そうハッキリ言ってくれればいいのに』
遠回しに言われた方が私は傷つくよ
「だから、それはちげーって!」
『じゃーなんでダメって言うの?』
「それは……」
赤也が口ごもっているうちに私の家に着いてしまった。私は忌ま忌ましく思いながら自宅を見つめる
赤也を再び一瞥してみたけど特に何も言わない
『じゃあ』
「名前…!」
瞬間、赤也に手首を捕まれる
『何』
「だって名前まだ怒ったままだろ」
『…別に、怒ってない』
「………」
赤也は再び黙り込むと、
『えっ…!?』
私の手を引っ張って私の家に入る。そして玄関を閉めると、ぎゅっと私を抱きしめた
『……赤也?』
「………」
『………』
おいおいおい。勝手にアクションしておいて無言を決め込むのですか。てか抱き着くのは恥ずかしいんじゃなかったんですか
まぁ私は嬉しいからいいけどさ
『赤也ー?』
なおも黙っている赤也を、私も抱きしめかえす。赤也が抱きしめてくれたおかげで私の機嫌もなおった。うん、単純
………お、赤也のにおいだ(←変態)
「抱き合うのとか、」
『……っん、』
「こうしてキスするのとか、………もちろん、名前以外とはしたくねぇけど」
『……けど?』
「…さっきみたいに、あんまり人前でベタベタすんな。恥ずかしいから。…そ、そーゆーのは、…2人きりのときだけにしてくれよ」
『……………』
「………………」
『赤也可愛いー!!』
「うわ、なんだよ!てか可愛いって言うな!!」
『でもさー赤也、残念ながらここも人前だよ?』
「へ?」
「随分ラブラブじゃのぅ」
『えへへー。でしょ?』
「に、仁王先輩っ!!」
玄関が開いたのに誰も入ってこないのを不審に思ったのか、お兄ちゃんが出てきてこちらを見ていたのだ
「まったく…帰りが遅いと思ったら赤也といちゃついてたんか」
「いちゃついてないっスよ!!」
『お兄ちゃん聞いてよ!赤也ったらねー、すぐ照れるの!あと名前呼び禁止にされちゃった』
「もう名前呼びになっとるぜよ」
『あ…』
「まぁよか。癖じゃろ。かわいそうになぁ名前」
よしよし、と言わんばかりにお兄ちゃんが私の頭を撫でる
「に、仁王先輩何やってるんスか!」
すかさず赤也がお兄ちゃんから私を遠ざける
「何って、可愛い妹を慰めてやっとるだけじゃ。用がないなら帰りんしゃい」
『えーお兄ちゃん、そんなこと言わないでよ。赤也ともっといたいのに』
「!!……名前、やっぱり名前で呼んでいい」
『ほんと!?』
「おー。その変わり、仁王先輩と喋るな」
『なんで?』
「だ、だってなんかむかつくじゃん」
赤也がぷい、とそっぽを向く。……やべ、赤也可愛い……!
『お安いご用だよ!!』
「え?」
「へへっ♪じゃーな、名前」
『うん、ばいばーい!』
赤也はスッキリとした表情をして家から出ていった
「名前、さっき赤也が言ったことは」
『はー、疲れたっ!お母さーん、おやつあるー!?』
「む、無視か…!?名前っ、名前ー!」
全ては君が好きだから!
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苦情はさっちゃん様のみ受け付けます。
迷ったのですが、捧げ夢という形をとらせていただきました^^
ツンデレを意識したつもりだったのですが……なりませんでしたf^_^;
ごめんなさいm(__)m
そしてまさかの仁王の妹設定。はは
リクエストありがとうございました!
苦情気軽に言ってくださいね
少しでも楽しんでいただけたら幸いです
閲覧ありがとうございました