氷帝
□恋着連鎖
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「おい名前、俺様と付き合え」
『イヤ』
「あーん?まだそんなこと言ってんのか。いい加減素直になれよ」
『その言い方じゃ、私がアンタを好きみたいじゃない』
「そうじゃねーか」
『違うから!どっから来るのよその自信!!』
私は、自信満々の俺様を睨む。……ムカつくけど、相変わらず綺麗な顔にドキリとする
朝、昼、放課後………てか、跡部は会って口を開けば冒頭の言葉を私にはく。そして私がそれを断る
そんな状況が、ここ数ヶ月続いている
…………別に、跡部が嫌いなわけではない。むしろ、その……好きだ
断る理由はやっぱり、私じゃ釣り合わないから。それに何より、ファンクラブが怖いからだ。とにかく怖い。恐ろしい。アレは無理だ
こないだなんて、なんで跡部様と付き合わないのよっておこられた。最初は調子にのってんじゃねーよとか言ってたくせにさ
てか、付き合ったら付き合ったで絶対怒るでしょ?どうすりゃいいのよ私
………ま、とりあえず怖い
「おい名前、聞いてんのか?」
『え?何、まだいたの?』
「おい、俺様がこんな近くにいるのに無視とはいい度胸じゃねぇか」
『はいはい。授業始まるから』
「チッ」
え?舌打ちしましたよこの人。……まぁいっか
「おい、名前」
『ん?』
「俺の女になれ」
『…TPOを気にして下さい』
「愛をささやくのにそんなもんは関係ねぇよ」
『………』
跡部ファンの視線が突き刺さる。……なんなんだよこの人はー…!!
……ひとつ、忘れてました。よりによって、跡部の隣なんですよ。もちろん、くじ引きなんて公平な結果の産物ではない。さすが俺様何様跡部様、いつの間にか私の隣にすりかわっていた
彼曰く、自分に不可能はないんだとか
「名前、」
『授業中くらい黙ってってば』
そうきつく言うと跡部はすぐ黙った。素直でなんだか可愛い……
授業に集中し始めた跡部を横目に捕らえると、私はふっと笑みをこぼす
「何ニヤニヤしてんだ、あーん?見惚れてんじゃねーよ」
『自惚れてんじゃねーよ』
前言撤回。やっぱり可愛くない
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