四天

□焦れるはちみつ
1ページ/3ページ






うぬぬぬぬ....


お腹、いたい…




私は授業中、こっそりとお腹をさする


アレだ、所謂女の子の日ってやつ
普段はあまり痛くならないが、たぶん…いろいろ疲れちゃったからかな、今日は結構ひどい


“いろいろ疲れた”っていうのは、この新しい学校での生活

私は今月の初め、この四天宝寺に転入してきた。明るく気さくな子ばかりでそれなりに楽しくやってはいるけど、やっぱりまだ慣れない




『…っ』


(あー…ピークきたかも…)

お腹の痛みがさっきより増す


やっぱり保健室行こうかな…



少し恥ずかしかったけど、私は先生に事情を話して保健室へ向かった








『失礼します…』

保健室に入ると先生が迎え入れてくれて、心配そうに頭を撫でてくれた



私がベッドに入ると、先生はこれから出張なんだと言って出て行ってしまった

(んー…寝れない)



ぼーっと天井を眺めていると、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る
私の通っていた学校とは違う、少し奇妙な音だ





「おい苗字ー!大丈夫か?」


チャイムが鳴ってそれほどたたないうちに、大声で誰かが入ってきた


「あほか!名前ちゃん寝てたらどないすんねん」


「し、しもたっ」



この声は…隣の席の忍足くんと、その友達の白石くん…だな



『大丈夫だよ、起きていたから』

私は口喧嘩をする2人に声をかける



「すまんなぁ、謙也が」


「俺かいなっ!…て俺か。ごめんな」



私はそんなやりとりに笑みをこぼすと、カーテンをひいた



「大丈夫か?授業中辛そうやったし…帰った方がええんちゃう?」

忍足くんが心配そうに見下ろしてくる



『そんなに具合悪くないから大丈夫。2人ともありがとう』


「謙也がなぁ、どーしても名前ちゃんの様子が気になるからってしつこくて」


「そ、そんなことないやろ!」


「俺はやめとけ言うたんやけど、白石は保健委員だから必要やとか言うてなぁ」


「せやかて、保健の先生途中から出張やてHRで言うてたやろ?」


『ふふっ…でも大丈夫。寝てるだけだし』



私が笑いかけると、2人も安心してくれたようだ

(優しいなぁ…2人とも)


普通、男子が女子の具合を見に保健室なんて来ないよ

…だから、この2人は女の子に人気なんだろうな

運動も出来て顔もカッコイイ
おまけに気配りまで出来て優しいなんてさ



「?苗字、どないした?ぼーっとして。やっぱ具合悪いんか?」


『違うよー』

忍足くんて心配性だな



『2人がモテる理由がわかるなーって思っただけだよ』


「「はぁ…?」」

2人は顔を見合わせる


『だってさ、2人ともこんな風に気配り出来て優しいし、運動神経もよくてカッコイイでしょ?』


「おおきに。なんや、名前ちゃんはこーゆう男が好きなんか」


『んー…好きっていうか……素敵だと思うよ』

私は曖昧な笑顔を浮かべる
(世間一般では人気なんだろーなぁ)


「聞いたか?良かったな、謙也」


「な、何がやっ///!!」

忍足くんの肩をぽん、とたたいてニヤニヤする白石くん
それに真っ赤になる忍足くん


『…?』

どうやら、私には解らない話のようだ


「俺は帰るな?次、あてられてるんや。お大事に、名前ちゃん」


『うん、ありがとう!』


私は白石くんに軽く手を振って見送った







.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ