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バレンタインの続きです
『…………』
朝、教室のドアをあけた途端に気づいた。自分の大きな過ちに
1ヶ月前と同様に、教室内はどことなくピンクのオーラがただよっていた。………そう、1ヶ月前の2月14日のように…!!
切原はさらっと教室を見回した私と目が合うと、にかっと笑った。…あぁ、いつもだったらそんな仕種にきゅんとくるけど今日は心苦しいだけだよ…
だってあの目、明らかに何か期待してる目だもん…!!
だがしかし!私は君の期待に応えられそうにないよ
だって今知ったもん、今日がホワイトデーだってこと
「おはよ!名前」
『お、おはよう…』
切原と挨拶をかわした後、教室内に視線をうつす。…うん、やってる人いる…!ホワイトデーのお返し!てかあの子が持っている袋って絶対お返しでもらったやつだよね……!
あああ…!どーしよ、切原からチョコもらったのに!お返ししなくちゃだよね!?
いやでも待て……女が男にチョコあげた場合はお返ししてるけど、男が女にあげた場合はどうするの…?
私、そんなの聞いたことないから分からないよ…!
て、考えてみたら切原以外の人にもあげなきゃじゃん…!?いや、あげなくてもいいのかな…?
ほら、変に期待させないようにー…みたいな。でもアレか、礼儀として一応返した方がいいよね…
『ふっ…』
どーしよ、わけわかんなくなっちゃったよ!もっと早くホワイトデーに気づいていれば…!!
今までバレンタインやホワイトデーに無縁だった自分が憎らしい
「名前、どした?具合でもわりーのか?」
『わ、』
切原が覗き込むように私を見つめてきた。今だにそうやって軽くてもアクションされるとびっくり………いや、恥ずかしい
『…なんでもない』
「なんでもなくないだろ!明らかおかしいって」
いろんな意味でドキリとした。こうやって、ときどき鋭いところがあるからあせる。傍から見たら今日の私はいつも通りなのに
「なんかあったのか?」
『………』
ここは、正直に話すのが得策かな…?それとも他のことを言ってごまかすべき?
いや、でもごまかしたってホワイトデーの件にはおそらく切原の方からふれてくる
「名前ー…」
『うっ…分かったよ』
切原の上目遣いには敵わない。普通は上目遣いって女の子の特権でしょーがまったく
『…今日、ホワイトデーじゃん?』
「おー。……おぉ!!!」
『え、何その後半の反応』
「いや、だってまさか名前がお返しくれるなんて思ってもなくて…!」
何それー…じゃああげなくても良かったのか。なんだ、話ふっただけ損した
………でも、こんなに喜んでくれてるんだからやっぱり何かあげなきゃダメだよね…。どうしよ、正直に忘れてたって言って後日あげようかな
…うん、それがいい!
で、
『ホワイトデーのお返しってさ、普通なにあげるの?』
うん、これは女子が知るわけがない
「うーん……知らね」
うん、切原が知るわけもないか。……モテてるくせに。この人お返しとかちゃんとやんなそうだし
自分で選ばずお姉さんかお母さんにでも買ってもらうのだろうか
「でも俺はなんでもいいぜ!!普通じゃない方が逆にいいしっ」
そう言って目をキラキラさせながら切原が手を差し出す。この手はもちろんアレですよね、お返しを受け取る手ですよね
…うん、ごめんねないんだよ
『切原、』
「なんだっ!?」
『…うっ』
そんな目で見つめられても…!
「あ…もしかして」
切原の目のいろが変わる。あ、やっと気づいてくれたか……私がお返しを…いや、正確に言うとホワイトデーを忘れていたこと
『うん、ごめん』
「なんで謝るんだ!?謝るのは俺の方だ…!」
『…え?』
「名前の気持ちに気付かずに……ごめん!!正直、ねーちゃんが買ってくるからお返しは何が普通なのかはわかんねぇ」
やっぱお姉さんですか
てか話がいまいち見えてこないのですが。私の気持ちってなんのこと?
「でも、」
『?』
「でも、どんなに他の奴にお返しをやっても俺は名前が1番だからな!!」
『(えー…)』
どんな勘違いしてるのこの子!私別に切原が誰にお返しあげようかその中身がなんだろうかまったく気にしないから…!!
「俺が好きなのは名前だけだし!!」
『あ、ありがとうございます……』
わー…どうしよ、なんか引き下がれなくなった
「名前がやきもちか〜…へへっ。なんか嬉しいなぁ」
『…………………ソウデスカ』
ああ…今日、切原の笑顔がいちいちチクリと響きますよ…!!
「で、何くれんの…!?」
『あー………あの、』
「おぅ!!」
『何も、ナイ………』
「は…?」
『今日がホワイトデーだってこと、忘れてて…。ごめんっ』
顔の前で手を合わせると、切原がかなりのアホ面をかましていた。……不謹慎だけど面白い
『えーと、ほら、ホワイトデーって普通女の子はお返ししないじゃん?だから、さっ………?』
「………」
『………』
「……なら、もっと早く言えよー…。期待して馬鹿みてーじゃん」
勝手に期待したのはあなたじゃないですかって言いたいけど確かに私にも非があるからガマンガマン
『ごめん』
「(………)じゃあさ、代わりに1つお願いがあるんだけど」
『なんでしょう』
「この前の続き、しねぇ?」
『この前って?』
思い当たる節がなくて私は首を傾げる
「バレンタイン、放課後の続き。キスマークくらいじゃたんねーんだけど」
『私はいっぱいいっぱいでしたが』
「え?」
『あ…』
思わず本音が出てしまってまずいと思った。切原は不敵な笑みをうかべる。なんだか嫌な予感がするけど的中しないでほしい
「へーえ…。あんなに余裕そうに見えたのに実はいっぱいいっぱいだったんだ?名前かーわいい♪」
『…っ///』
1ヶ月前の光景が、鮮明にフラッシュバックする。思い出すだけでも私にはあのシチュエーションは刺激が強すぎる
「あ、赤面した!!」
『してないから』
ぷい、と顔を反らすと切原が笑うのが聞こえた
「いーじゃん、俺らもう高2だぜ?」
『まだ付き合って1ヶ月だし』
「“もう”だろ?」
『………』
「今日、一緒に帰ろうぜ」
切原がまた、色っぽく笑う
「もちろん、俺の家までな?」
お返しは、(お、お邪魔します…)((思いきってベタな台詞言って良かった♪))(なんか随分嬉しそうだね)(そ、そんなことねーよ)(…変態)(なんでだよっ!)*****
(※帰宅部エースのヒロインちゃんはめんどくさがりかつドライなので、普段は一緒に帰らないのです)
……はい、分かりますよね。ごめんなさい。かなりの手抜きです。どうしても間に合わせたくて1時間くらいで書き((ry
案外あの赤也くんが人気だったので、続きを書いてみましたー
ヒロインちゃんのキャラが変わっている気がしますが悪しからず……!
わー…更新久しぶり。
しばらくしたら書き直すつもりです。ごめんなさい