立海

□始まったふたり
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『今日もカッコイイなぁ…』


私は放課後、いつも図書室に残って勉強している。

私の入部していた部活はもう最後の大会を終え、今は帰宅部となってしまっていた。

そこで暇を持て余した私は怠け防止の為にも勉強している。



…というのは表向きの言い訳で
実はここから見えるテニス部の練習を毎日眺めている。


今まで部活で見れなかったしね。



私の想い人は、仁王雅治くん。

銀髪でカッコイイ、ちょっと掴めない人
詐欺師とか呼ばれてる。


仁王くんはテニス部で、言わずもがな、相当モテている。


だから私にとっては雲の上のような人で、好きだけど正直ちょっと近寄りがたい。


お、今日は丸井くんと戦うんだね。

ゲーム形式の練習が始まると、
銀と赤の髪がコートに入る。

にしても自由だよね…。
真田くんよく許すな、あんな髪。


そんなことを思いながら練習を眺めていると、

ふと仁王くんと目があったような気がした。
…まぁ、これだけ見てるんだもんたまには合うか。

今日はラッキーだな。









「名前先輩っ」


『Σわっ!?』


あまりに夢中になりすぎて
私は背後から来た人に気づけなかった。



「なーにそんな真剣に見てるんスか?」


『な、なんでもないよ赤也くん』



び、びっくりした…。


「なんでもなくない様子でしたけど?どれどれ…」


『あ、ちょっ…』


「へー…ここからだと、テニス部の練習よく見れますね、先輩?」


『そ、そうだね』


「てか、テニスコートくらいしか見えませんね、ここから」


『………』


うぅっ…それ以上はちょっと追究しないで欲しいな…。


「へー…名前先輩がねぇ」


『も、もう!それ以上は何も言わないの!赤也くん今日の練習はっ』


「そのために名前先輩に会いに来たんスよ」


『…?』







****





「ん…?こうっスか」



『いやいや違うよ、だからね…』



英語が苦手な赤也くんは、先生に特別課題を出されてしまったらしい。

それを知った柳くんが幸村くんや真田くんと相談して、課題が終わるまで練習禁止にさせたそうだ。


私から言うと…またか!って感じですね。

以前もこんなことがあり、赤也くんに勉強を教えた。

同じクラスの幸村くんに頼まれて。

だから赤也くんは事あるごとに私を頼ってくれる。

私の唯一の男子後輩。
とっても可愛い。
…って言ったら怒りそうだな。



「で、名前先輩?」


『ん?』


「仁王先輩と丸井先輩のどっちが好きなんスか?」


『えっ///!?な、別にどっちも好きじゃな「さっき食い入るように見てましたよね?二人がゲームしてるコート」…』


く、食い入るようにって…
なんか恥ずかしいな。


『ひ、秘密だよっ』


「へー…仁王先輩なんですか」


『なっ…』


「わ、ビンゴっスか!?」


『///』


「先輩解りやすいっスね」



うぅっ…赤也くんて意外と鋭いのね。
私が単純なのかな?


『そ、そんな事より!課題しなさい課題!!』


「先輩がぼーっとしてる間に終わりました」


『えっ…』



本当だ。しかも合ってる…。


『生意気』


「よく言われます」


なんだかなー…。
私ってなめられやすいのかな?



「あ、そうだ先輩。教えてくれた御礼しますね」


『本当?今回は何〜?また飴かなにか?』


赤也くんは教えると御礼とか言っていつも何かしらくれる

たいていお菓子かな


「もっといいものですよ♪」


そう不適な笑みを浮かべながら、赤也くんからは徐に携帯を取り出して誰かにメールをうちだした。



ニヤニヤした赤也くんの様子から、何か嫌な予感しかしなかった。






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