立海

□full count
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近頃よく目が合うのに
浮かれてたけど
こっちが見てんだから
当たり前でしょ







full count











俺は最近、好きな人が出来た

そいつは、席替えして俺の隣の席になった苗字名前ってゆー子

普段目立つタイプじゃないから
はっきり言ってあまり知らない奴だった

喋ったこともないのに暗い奴だな、なんて勝手にレッテル貼ってた

でも話すようになったら、
案外明るい奴だなとか
良く見たら可愛いじゃんとか思って
無意識に目でおっていて

苗字のいろんな一面を見ていくうちに好きにっちまった


いつか付き合いてーなーなんて思う
そのまま無意識に苗字に視線をうつした

あ、
目が合った

最近よく合うな…

って俺がよく見てんだから当たり前か

目が合うと、苗字は少し照れくさそうに微笑む

その笑顔がまた可愛いーんだ


そして今日、実は大きな決意をして学校にきた

まぁ他の奴から見たらたいしたことないかもしれねーけどな

その決意ってのは、
今日一緒に帰らないかって誘うこと

先輩たちの受け売りだけど


今は6限目
今日は6時間授業の日

だからチャンスはこのあとだ
あーやべっ
急に不安になってきた

てか緊張するし!
あー!!俺ってなんでこんなに小心者なんだよ

試合とかだったらもっと

キーンコーンカーンコーン


無情にも授業を終えるチャイムが鳴り響く

頑張れ俺……



俺は意を決して苗字の方を向いた

「あのさっ…」








*****








「…で、結局誘えなかったんか。赤也もヘタレじゃのぅ」


「しょ、しょうがないじゃないっスか!すんげー緊張しちゃって、もうなんかわけわかんなくなったんスよ!!」


「赤也だっせー」


「うるさいっスよ丸井先輩!」


俺だってださいって思ってる!
なんで“一緒に帰ろう”なんてそんな簡単なことが言えないんだって

でも、案外勇気いるもんだぜ!?


「しょうがないな、傷心中な赤也くんのために優しいブン太先輩が一緒に帰ってやるぜい♪」


「おぉ、いいのぅ。それならどこか寄って放課後デート風にしてみたらどうじゃ?」


「そんなの嫌っスよ!」

全く…俺で遊ぶのはやめてほしい



結局、寄り道はしないが先輩達と3人で帰ることにした


はぁ…
苗字と帰りたかった

明日また頑張ってみっかな



『切原くん!!』


突然、俺の耳に入ってきた心地好いソプラノの声

この声は…


「苗字……?」


声のした方を振り向くと、いるはずもない人が立っている


『…なんで先に帰っちゃうの?』


苗字が少し悲しそうな顔をする
あ、これ初めてみた表情だな
笑顔も可愛いけどこっちも…じゃなくて!


「なんでって…?」


俺、帰り誘えなかったはずだし


『切原くんが言ったんでしょ?今日一緒に帰ろうって』


苗字は控えめに言う


って、

「えぇ!?マジで!?」


思わず先輩達の方を見ると、先輩達も驚いているようだった

先輩達の仕業じゃないみてーだな

ってことはマジで俺が誘ったのか!?


『マジだよ?』


苗字は少し困ったように笑う


ま、マジか…!!
全然覚えがねぇ


でも…


「じゃ、一緒に帰るか///」

折角のチャンスをみすみす無駄にするほど俺は馬鹿じゃねぇ


『うん』


苗字がにっこり笑いながら同意したのを確認してから、
先輩に挨拶をした

先輩方はいいの?なんて苗字は気を遣ってくれたが
その心配は無論無用だ!


先輩達のからかう声を無視して、俺達は並んで歩きだした









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