立海
□full count
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「で、そのショックで足がふらついてこけたと?」
「………」
「赤也、お前ってつくづくダサい男なんだな」
「………」
「駄目じゃ、これは相当きとるの」
「だな」
失恋決定した俺は放心状態で、とても見れたもんじゃなかった、と先輩達に後日聞いた
****
『おはよう、切原くん』
俺の心などお構いなしに時は流れるもので
次の日はすぐにやってきた
「…あぁ、はよ」
このときばかりは、苗字の隣の席が嫌でたまらなかった
『どうしたの?元気なくない?』
苗字が心配そうに俺の顔を覗き込んでくる
昨日までだったら、すっげー嬉しかった行動も、
「…やめろよ」
今日は全然嬉しくなくて
むしろすげー煩わしくて
なんかむしゃくしゃして
「気安く近づくな」
自分が何を言っているのかわからなくて
近づいてきていた手を思い切り拒絶して
苗字が赤くなった手を抑えていることとか
苗字が困惑と悲しみに満ちた表情をしていることなんて
ちっとも頭に入ってこなかった
****
*苗字Side*
『そうなんですか…』
今朝、切原くんに思い切り拒絶されてへこんでいた私に、
仁王先輩と丸井先輩が
話しかけてきた
そこで今、切原くんの不機嫌のわけがわかった
切原くんは失恋したらしい
それは同時に私の失恋も示していて、
すごくショックだったけど
何も知らずに『元気なくない?』なんて聞いた自分にほんと腹立つ
『……っ』
「お、おぃ!泣くなよぃ」
『泣いてないです…』
泣いてない…辛いのは私より切原くんなんだから…
泣かない
「そう強がんなさんな」
『え、』
*****
昨日は俺の知らない男と楽しそうにしていた苗字
今日は…仁王先輩と抱き合っている
それを唖然と見つめる丸井先輩
状況が全く掴めない
彼氏はどうしたんだよ
もしかして別れたのか?
それを仁王先輩が慰めてるのか?
あくまで憶測だが、
それならつじつまが合う
いや、それとも仁王先輩が好きなのか?
ありえない話ではない
仁王先輩はあれでもモテる
、なんで…
「なんで俺じゃないんだよ!!!!」