立海
□full count
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(や、やべぇかも…)
帰り始めてからしばらく経ち、俺はあることに気づいた
「………」
『………』
何を隠そう、
話題がねぇ!!
ち、沈黙が気まずい…
もちろん会話0だったわけじゃないぜ?
テニスの話もしたし他にも格ゲーの話とか格ゲーの話とか………あれ?
自分で言うのもなんだけど、俺って超つまんねー男じゃね?
テニス未経験且つ格ゲーもしない苗字にとって、俺の話はつまらないことこの上ないだろう
が、頑張れ俺…!
俺は自分に、本日二度目の喝を入れるのだった
「あのさ…」
****
「で、結局ほとんど無言じゃったと?」
「初々しいねぇ〜赤也くん♪」
「う、うるさいっスよ!!」
そう、結局昨日はあのまま会話が続くことはなかった
沈黙はもちろん気まずかったけど、一緒に帰れたことはすっげー嬉しかった
…と、俺は思う
苗字はどう思っただろうか
つまらない男と思われてしまっただろうか
そんなことを考えながら部活に取り組んでいると、案の定真田副部長にたるんどる!と怒られた
んで今走ってる
否、走らされている
はぁ、たりーなー
今日は苗字と帰れねーしなー
唯一の救いは、昨日いきなり誘ったことを周りに言い触らしたり、気まずそうな態度をとられなかったってこと
逆に言えば、俺のことを全然気にとめてないってことになるの、なんて仁王先輩は言っていたがそれは聞かなかったことにする
「……!」
俺があまりにも苗字のことを考えていたせいだろうか、
100mほど先にアイツの後ろ姿が見えるような気がした
…いや、気のせいではないようだ
確かに俺の先には苗字がいるのだが、
もっともっと手の届かない
ずっとずっと遠くにいるように感じた
そして同時に、俺の恋は音をたてて崩れ去った
理由は一目瞭然
苗字が
楽しそうに
他の男と帰っていた
なんかもう、、、視界が真っ暗だ