GOBL

□たまには空気を読もうか
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今日はバレンタインだ。恋人であるシュウからのチョコを期待し、食堂に向かう。

「おはよう、白竜」

「あぁ、おはよう」

食堂に着くと、先にシュウが先に座って朝食を食べていた。いつものように俺もシュウの隣に座り、何気ない会話をしながら朝食を食べる。先にバレンタインの話題を出したのはシュウだった。

「そういえば今日って“ばれんたいん”っていうものなんだよね」

「そういえばそうだったな」

冷静を装ったが、内心は楽しみでしょうがない。胸が高鳴る。

「………」

「………」

「あぁ!もう!わかんないかな!」

「えぇ!?」

「ちょこ!白竜は僕の恋人でしょ!?じゃあ頂戴よ!」

見事に期待は裏切られてしまい、さっきまでの俺の胸の高鳴りは完全に消えていた。

「待て、シュウ。バレンタインとは何かわかってるのか?」

「?恋人が日頃の感謝をこめてちょこを贈る日だってカイが言ってたよ」

シュウがなぜこんなことを言ったのかわかった気がする。きっと何も知らないシュウにカイがわざと間違った知識を教えたのだろう。

「いいか、シュウ。バレンタインというのは女が好きな人にチョコを渡すイベントなんだ。つまり…」

「じゃあ僕達には関係ないの?」

「いや、最近では逆チョコというものができている。」

まぁ、逆チョコも男が女にあげるものだからどっちにしろ俺達には当てはまらないが…。

「それに…その、だな。お前はいつも下だから…」

「そんなの勝手だよ!白竜の馬鹿!」

なぜ自分は怒られているのだろうか。考えているうちに、シュウは出ていってしまった。

せっかく練習が休みなんだ。この日以外に二人で居れる時間もあまりない。早めに仲直りをしなくては。


いない、いない。どこを探してもシュウがいない。シュウのチームメイトに聞いても皆知らないと言う。…いや、まだ聞いていないやつが一人いた。

「カイ!」

「ん?どうしたの?そんなに慌てて」

「シュウを知らないか」

「……さぁ?森にでも行ってるんじゃない?」

少し間が空いた。この瞬間コイツが何かを知っていることが確信にかわった。

「とぼけるな」

「とぼけてなんかいないよ」

「〜!誰のせいでこんなことになっていると思ってる!」

「あぁ、バレンタインのこと?」

クスクス笑いながら答える。どうやらシュウに嘘を言うのはよほど面白かったようである。

「でもあれ、そんなに意味間違ってないだろ?」

「…おい」

「ごめんごめん。シュウならあそこだよ」


カイが指差したのは近くにある調理場だった。そこにはせっせとチョコを作るシュウの姿が。急いでそこへ走った。

「シュウ!」

「あ、白竜!」


さっきまで怒っていたはずなのに今は満面の笑みでこちらに手を振っていた。

「できたよチョコ!カイに教えてもらったんだ!」

今度こそ正しいのことを話したようで、出来ているものはとてもおいしそうだった。

「さっきはごめんね。僕何も知らなくて」

「いや、俺の方こそ…」


「じゃあもうケンカは終わり!はい!チョコ!口開けて!」

「!うまい…!」

「本当?よかった〜。僕も食べたいな」

そう言ってシュウは俺にキスをした。触れるだけではなく、深いキス。

「ん、」

「あー、初めてにしてはいいできかな?」

チョコも食べれて、キスもできてシュウは満足そうだった。





「お返し楽しみにしてるからね!」

「あぁ、またホワイトデーに…」

「ホワイトデー?白竜自分で自分の日、作っちゃったの?名前に白があるからって…」

「ち、違う!」






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