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□第一回アンケート結果「決意の夜」
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「しっかし、お前もお前だよなぁ…。」




「あ〜、大輝だぁ〜、ウヒヒ、相変わらず真っ黒だなぁ!」



あー、メンドくせ…。
家に帰ってきたら玄関にスーツの女が転がっていた。
あたりに漂う酒臭からするに、こいつは酔っ払っているらしい。




「んな、フラフラになるまで飲むんじゃねぇよ。」





「お酒がおいしいからいけないんですぅ〜!」





ぷぅ、とほっぺたを膨らます目の前の女…名前は、俺の姉貴…であり姉貴ではない。
小さいころ、近所に住んでいてよくさつきと俺の面倒を見てくれたから、昔から姉貴のように慕ってきた。
…まぁ、そんな気持ちだったのも小学生までだよなぁ…。
今現在、高校生になり、まぁ、強くなりてぇし、あいつに負けっぱなしってのも癪だから部活にちゃんと出るようになった。
今日もそんな部活から帰って来た時にこれだ。
生憎今日は家族全員が出払っていてこの家には現在名前と俺しかいない。
しっかし…。





「大輝汗くさーい!」





「部活やってきたんだから当然だろ…。」





酔ってる時のコイツほどメンドくせぇものはねぇ。
というか俺を抑えるのに苦労する。

赤く染まった頬に潤んだ瞳、そんで玄関で倒れてたからかなんだかしらねーがスーツもはだけてるときた。
コイツ地味にいいからだしてやがるから目のやり場に困るんだよ。
そしてこいつが酔っ払うと妙にくっついてきやがるからたまったもんじゃねぇ。




「俺風呂入ってくっから、適当に酒抜けたら帰れよ。」




グイッとそんな彼女を自分から引き剥がし、風呂へと向かう。
少々手荒だったか、とチラリと名前をみるが、彼女はまるで幼子のようにぷーっと頬をふくらませたままだ。
俺は盛大なため息をついてリビングから出る。
とりあえず、適当にシャワーを浴びて今日は寝るか…。風呂から出たら名前も帰ってるだろ…。
でも心のどこかで、風呂から出てもあいつはまだいるんじゃないかと期待していた。

風呂から出た俺はまずリビングを見渡し、誰もいないのを確認すると小さくため息を付いた。
やはり明日は平日だし、彼女も仕事があるため帰ったのだろう。
少々期待していたため、その落胆は大きい。

自室の扉を開けるととたんに襲ってくる睡魔。
夕飯は今日珍しくさつきとテツと火神とマジバで済ませてきた。
テツと会ったのは偶然だったのだが、あの火神の食べっぷりにはこの俺でも少々ドン引きだった。
電気を消してベッドへと潜り込む。
とりあえず今日は色々とあってつかれた、目を閉じて寝返りを打つと、なにかに当たった。





「…?」





その当たった何かを確認すべく、その物体にベタベタと触ると「んん…。」というどこかで聞いたことのある声が帰って来た。
バッと布団をめくるとそこにいたのは…。





「名前…お前な…。」





「…んー…?あ、れ…大輝…?なんでここ……に。」




酒はもう抜けたのか、目の前にいたのは先程までの酔っ払いではなく、いつものしっかりとした名前だった。
まぁ寝起きということもあり、目をゴシゴシとこすり、自分自身が今どこにいるのか把握していないようだったが、自分の部屋ではないことはわかったのだろう。
ガバッと起き上がるととたんに慌て始める。





「あ、え、えっと、あれ、なんで私ここに…!?と、というかごめんなさい!!!!おじゃましました!!!!!」




酒が入っていた時のことを思い出せないのか、目の前の彼女はもう見ていて滑稽なほどの慌てっぷりであった。
俺の部屋のベッドは壁際に置いてあるため、ベッドから出るには俺を飛び越えなければならない。
だが名前は自分が着ているのがスーツで、しかもスカートということで上を飛び越えるのをためらっているらしい。
しかも時計を見ればもうすでに12時を回っている。
いくら社会人だとはいえ、このような時間に女をひとりで帰すわけにはいかない。

そう考えた俺はグイッと名前の腕を引っ張り再び俺の隣に寝かせる。




「だ、大輝!」




「いーから、今日は黙って泊まってけ。」




ポンポンと頭を撫でてやるととたんにおとなしくなるから面白い。
名前はひとりっこだったのだが、俺たちとまるで本当の弟妹のように接してくれた。
だから自分の中でおねえちゃんだからしっかりしないと!という感情がどこかであったのだろう。
そんなだから名前は見ていて危なっかしいと思うくらい無茶するときもあれば、流石だな、って思うくらいしっかりしている時もあった。
そんな彼女に惚れたのは当然なのかもしれない。
一番近くで、一番自分のことを理解していてくれて…。

でも、まだコイツに釣り合うには遠い。





「なぁ名前。」




「な、なに…?」




「おやすみ。」





「お…おやすみ。」





だから、いつの日かコイツに釣り合う男になったら、その時、俺から迎えに行こう。
それまで、コイツに変な虫がつかないように、ちゃんと見張ってやらねぇとなぁ…。
無意識に目の前にいる名前を抱きしめれば、なんだか心が温まったような気がした。
フッと笑ってから再び目を瞑る。
幸せな夜だった。

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