Short
□キャンディ
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コロコロと代わる君の表情は
いろんな色のキャンディみたいで
パクッて食べたくなっちゃう
。+゜*。キャンディ。+゜*。
「あっくーんっ、朝練遅刻しちゃうよーっ!」
いつもの朝
いつもの日課
私はあっくんを起こしに行く。
家が隣ということもあり、幼い頃から一緒にいた。
幼稚園のときはあまり身長が変わらなかったのに、気がついたらこんなに身長差ができていた。
幼い頃の私はそれが悔しくて何度も何度もお母さんに泣きついた。
「敦くんは男の子だから仕方がないのよ。」
何度も何度もお母さんに同じことを言われた。
それが気に食わなくて私は何度も何度もあっくんをいじめてばっかりいたっけ…。
今思い出すとなんて低脳なことをしていたんだろうと恥ずかしくなってくる。
「ん〜…名前ちん…?もうそんな時間〜…?」
目をゴシゴシとこすりながら、そして大きなあくびをこぼしながらあっくんは玄関から出てくる。
中学二年生ながら彼は帝光中バスケ部1軍という輝かしい栄光を手にしていた。
確かにこんな大きな体をバスケでは十分に生かせることができるものね、とあっくんを見つめながら微笑みをこぼす。
「ほら、早く行かないと赤司君に怒られちゃうよ!」
「えぇ〜…それはやだ〜…。」
小学生のときは私にいじめられていたからかどうかわからないけれどこの大きな体を彼は好きではなかったらしい。
でも途中からその恵まれた大きな体に目をつけた子達があっくんにバスケを勧め、バスケをやるようになった。
ただ、彼自信、バスケはあまり好きではないようだが。
でも私はそんなバスケをやっているあっくんが好きだったりする。
…バスケをやっていないあっくんのことも実は好きだったりする。
幼い頃から一緒にいたから、ということもあるのかもしれないが、気づいたら好きになっていた。
恋愛事に全く興味のなさそうなあっくんは私があっくんにこんな想いを抱いているなんて考えもしないだろうけど。
そんなこんなで、他愛のない話をしながら中学へと足を運ぶ。
「じゃあ名前ちんまた後でね〜。」
「うん、朝練頑張ってね!」
笑顔で別れを告げると私は教室に、あっくんは体育館へと向かう。
好きな人と毎朝一緒に学校に登校できるなんて幸せだなぁ…なんて思っていた。
そんな時にこう、なんていうのかなぁ。
━━ドンッ
「っす、すみません!」
コテンと、尻餅をついてしまう。
どうやら前から走ってきた人にぶつかってしまったらしい。
今度から注意しよう、幸せな気分でもちゃんと前に注意して歩こう。
でも転んでしまったのはどうやら私だけのようで、ぶつかってしまった人は平気だったようだ。
「っと、悪ぃ!急いでたしお前小さくて見えなくて…。」
ん?なんだか少しけなされた気がしたけれど今のは私が悪いわけだし、仕方ない、見逃してやろう。
そしてその声にも聞き覚えがあった。
「ってなんだ、名前じゃねぇか。」
「おはよう、青峰くん、今日も遅刻ギリギリだけど大丈夫?」
帝光バスケットボール部エースの青峰大輝。
青い髪に黒い肌。彼の幼馴染の可愛い女の子が前に「ガングロ」って呼んでたけど確かにそうだよね…。
「っと、いけねぇ…。赤司に怒られちまう…。」
みんなやっぱり赤司くんのことは怖いみたいで、口を揃えて「赤司に怒られる」って毎回言うよね。
それを見て私はクスリと笑う。
こんなに怖そうな青峰くんでさえ、赤司くんのことが怖いなんて。
そんな私を見て何かを思いついたのか。
青峰くんがニヤリと何かを企んだよな笑みを私に向けるとヒョイっと私を肩に担いだ。
「なっ!?」
「いいからお前もこいって!こんな早くに教室行ったって暇だろ!」
私の平凡な朝を返せ。