ブルーすかい。
□チョコ焼き
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「それはそうと、さつきたちはなんで私たち呼び止めたの?」
「あー!そうだった!あのね!」
そういえば、先程さつきが声を掛けてきたのだが、何か用事があるのではないかと思ったので話を変えるついでに、聞いてみることにした。
い、いや、このなんていうの…犬と猫の戦いみたいな空気どうにかしたかったし…赤司くんって猫みたいだよね…ほんと、猫目だし…。
さつきは、ずいっと私に顔を近づけて、私以外に聞こえない程度の小声で話し始める。
「なんだかわからないけど、写真部が変な動きしてるって情報が入ったの。その変な動きってなんだと思う?」
「な、なんだと思うって聞かれても…。」
さっぱり見当がつかない。
写真部だからなにかの写真を撮っているのだろうけれども、あれかな。なんか、誰かのあらぬ姿の写真とか…。
例えば赤司くんが犬に話しかけてる写真とか、なんかそういう感じの…話題性のある感じの写真を撮りまわっているとかかな…。
そういう私の予想のセンはあながち間違っていないようだった。
「じ、実はね…『ベストオブカップル』って言う題材で、そこゆくカップルのカップルっぽい写真を撮ってるらしいの…!」
さつきの話によると、どうやらこの校内にいるカップルの写真を写真部のみなさまがご丁寧にばっしゃばっしゃとっているらしいのだ。
そして、その撮った写真は後日校内に張り出し、投票で優勝を決めるらしい。
優勝したカップルはもちろん、校内公認のカップルということになる。いや、それだけ目立つのだからということになる、ではなくて必然的に公認カップルになってしまう。
「だから私今テツくんといるんだけどねー…キャーッ言っちゃったー…っ!」
この目の前の乙女は確信犯だったのか。
頬をピンク色に染めて手で覆うようにしている彼女の顔は終始笑顔だ。
「だから奈々たちも、あんまり過激なことしないようにねって忠告しようと思って!」
「なっ…!」
ちょっ、ちょっとオネーサン過激なことってなんデスカ…!?
さつきのその言葉にボッと顔を赤くすると「あっ、想像しちゃったー?うふふ〜。」なんて言葉が返ってくるし、くっそう…!何も言い返せない…!
「奈々ー、そろそろ行こうぜ、腹減った。」
「え?あ、うん。」
「じゃあ奈々!確かに伝えたからねー!」
「すみません、失礼しますね奈々さん、青峰くん。」
「じゃあ僕はオセロクラブに行ってくるよ。」
そして再びそれぞれの行動へと移ったのだが、今の私の頭の中にはもうさきほどのさつきの言葉しか浮かばず、恥ずかしすぎて顔を上げることすらできなかった。