ブルーすかい。

□触覚
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「いやーまさかねー!帝光中来てみたらすっごく面白そうな出し物バスケ部がしてるって聞いてさー!そしたら受付に奈々ちゃんいて俺すっごく嬉しいよ!」






にっこにっこと目の前で笑う彼はやっぱりどこか人懐っこい笑顔で、こんなちゃらそうな言葉はいても憎めなくて、なんだろう…あざとい?←
高尾くんを席に案内しようとしたらさつきがちょうど戻ってきて、席でのお相手は私がすることになった。







「で、そういえばなんで高尾くんは真ちゃんを指名したの?」






「ぶはっ!!!真ちゃんって!!!いいね〜!俺も今度あいつのことそうやってよんでみよっと!」





どうやら私の呼び方がお気に召したらしく、彼はニヤリと笑う。
…というかこれ君が高校に入ってから真ちゃんのことこう呼んでたから私もこう呼んでるんだけどね…?
なんだか、彼が真ちゃんのことを真ちゃん呼びにするというきっかけを作ってしまったようだ…。






「えっと、あいつを指名したのは簡単な理由だよ。単なるリベンジ。ほら、前に奈々ちゃんとあいつのコンビに俺らの中学こてんぱんにされたっしょ?だから、やっぱり負けっぱなしって悔しくてさー!」






そう、告げる彼の顔は落ち込む、という表情ではなくてむしろ今から真ちゃんと戦えるのが楽しみで仕方ないって顔だった。
やっぱり男の子っていいなぁ、そういう真っ直ぐなところが私は好きだ。
そうして高尾くんと話しているのは結構楽しかった、さすがハイスペック彼氏高尾殿←
そして、コートが空き、真ちゃんと高尾くんのゲームが始まる。







「奈々、今の誰だよ。」






すると先程まで高尾くんが座ってた席にどかっと座る人物。
まぁ目の前のこのむっすーとしている人の嫉妬の仕方見ればわかるけど。






「高尾くんだよ大輝、前に真ちゃんと練習試合に行ったところのエースってとこかな〜、いい子だよ〜。」






「ふーん…。」






目の前の彼はその言葉すらも面白くないらしく、真ちゃんと高尾くんの試合をつまらなさそうに見つめる。
私も彼に習って高尾くんの成長ぶりを見届けようとした…おっ。







「…さっそく習得したかー、鷹の目。」







「鷹の目?」







「うん、そうそう、ホークアイ。彼さ、コートの中全部見えてるんだよ、今自分の視界にうつってるところだけじゃなくて、背中の方も、全部。」







彼のプレーを見ると思わず笑みがこぼれる。
思ったよりも成長が早くて、これは嬉しい。べ、別に私が育てたわけじゃないんだけど…。
なんだかリコちゃんの気持ちがわかるような気がしてきた。







「…ホントだな、確かに全部見えてるようなプレーしやがる。」






大輝も見ていてわかったのか、感心したような顔をしていた。
そんな大輝の顔を見るのが嬉しくて、ついつい、彼の顔を見つめてしまう。
この、この大輝とカレカノなんだなぁ、なんて思うと幸せで…と思ったところで思い出した。







「あっ…。」







さつきに言ってねぇ。
…オワタ。
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