ブルーすかい。
□触覚
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結局、あんなにあんじていた自分の姿は翌日にはもうすでに戻っていた。
まぁ翌日っていうと…。
「奈々ー!こっちオレンジ2−!」
「こっちコーラ4ね!」
「は、はーい!」
文化祭一般公開当日なわけですが…。
その日も目の回るくらい大忙しで、本当は裏方要員だった私も表に出てきてみんなのサポートに回ることになった。
「しっかし、昨日のあのイケメンはどこいったんだろうなぁ?あれうちの生徒だろ?」
「誰かのにーちゃんが制服借りてきてたって噂だぜ?」
「まじかよー!俺あの人と一回やりたかったなー!」
ビックー…!
そりゃそうだ、昨日あんだけインパクト大なことかましておいていきなり消えて、今日も現れない、そりゃ伝説の様に語られるわけだ。
「確か松木って言ってたよな…松木って苗字のやつうちにいたっけ?」
「松木…松木…なんかどっかで聞いたことあるんだよなぁ…。」
わ、私ってそんなに存在感ないですかね!?
いやでも、部活ではほとんどみんなに下の名前で呼ばれてるから苗字っていうとあんまり出てこないのかもしれない…!そう信じよう。
とりあえず、今はそんなことにかまってられるほど暇ではない。
今日は学校外の人も来るのだ。当然、キセキの世代と1on1をやれるということで、他校のバスケ部の人も何十人とやってきていた。
受付の方もさつきがなんとかやっているからいいものの、手際が悪い子だったならばすぐに長蛇の列が出来てしまいそうな勢いだ。
ふと、彼女の方を見ると、何か困っている様子だ。
気になって近づいてみると、どうやら何かを探しているらしい。
「どうしたのさつき。」
「奈々!ごめん!ちょっと予約の人のための紙切れたからとってくる!その間受付お願い!」
「えっ!?えっ!?」
そういうと彼女はダッシュで倉庫の方へと向かっていってしまった。
その間にも、受付の前には列が出来上がり、待っている人もたくさん出てきてしまった。
ど、どうしよう、このままではもしかしたら機嫌を損ねてしまう人が出てくるかもしれない…!
仕方ない、あとで写せばいいか…!と私は胸元にいつも常備しているメモ帳を取り出し、一番最初に並んでいる人から順に名前と学生ならば学校名を聞いて、席に通した。
案外私も結構このような仕事が向いているらしく、てきぱきと行動ができた。
さつきはまだ戻ってくる気配はないが、結局先程出来上がってしまった列はなくなり、ホッと一息つく。
すると、スッと目の前に誰かまた並んだようだった。
「いらっしゃいませ、何名様で…。」
「うっそ、奈々ちゃん!?やっほー!元気だった!?」
そこにいたのは、高尾和成だった。