ブルーすかい。

□嫉妬、そして。
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「奈々〜〜〜〜〜!!!!雑誌見たっスか〜〜〜!!!俺らめっちゃ絵になってるっスよね〜〜〜〜!!!!!」










「っあぁ!?」








堀北マイの写真集を眺めていたら黄瀬の野郎のうるさい声が部屋に響き渡る。
文化祭で部活でも出し物をやるとかで集まったらしいが、結局俺に仕事は回ってくることもなく、赤司と緑間が適当に進めていてくれた。
隅の方でさつきと奈々も何かを眺めていたようだが、それが黄瀬の特集が組まれている雑誌だと分かり、少しいらつく。
…俺以外の男の写真なんか見てんじゃねぇよ。…ってな。





「…涼太、雑誌、ってなんのことかな?」





すかさず赤司が食いつき、さつきたちが見ている写真集をチラリと見て、それのことだと感づいたらしい。






「え?今日発売のいつものファッション雑誌っスけど…。」














「ふぅん…、桃井、君が持ってるそれって、そのファッション誌かい?」












「え?え、えぇ、と、うん、そ、そうだよ…。」











「赤司っちなんでそんなイラついてるんスか〜?カルシウム足りてないんじゃないスかね、
牛乳飲むっスか?」









相変わらず黄瀬の野郎のKYさには溜息もんだが、俺も少し気になっていた。冒頭部分で言っていた黄瀬の「俺たちめっちゃ絵になってる」という言葉が少し引っかかっていた。
ペラペラとページをめくる赤司が「あぁ、これか。」と言葉を発するのにほんの数秒。
てか目次みりゃ一発だろ…普段赤司がこういった類の雑誌を見ないことがこれで判明してしまった。
まぁ見るくらい問題ねぇだろ、と思い、ちょっとした出来心で覗いたのがいけなかった。






「奈々ちんかわい〜。」











「ほう、ちゃんとすればちゃんと見えるものなのだよ。」










「緑間くん、可愛いと思ったならば素直にそう言ってあげてください。」












「奈々、今度一緒にどこかへ行こうか。」










口々に回りのやつらが言葉にするのはごもっともだ。
確かに可愛い、そこらのモデルなんかより群を抜いて可愛いと思う。
だけどよ…。






「でしょでしょー!」






自慢げにこいつらに見せる黄瀬に心底イラついた。
そんで、その黄瀬にノコノコ付いていってモデルの仕事引き受けた奈々にもイラついた。
…ぶっちゃけた話しちまうと、黄瀬と奈々が、すげぇお似合いのカップルみたいにみえて嫉妬しちまってたんだよ俺。
その時はもし隣にいるのが俺だったら、なんて考える余裕ないくらいイラついてて。
奈々が俺の方を見てるのは気づいたが、それもなんだか面白くなくて俺はその場から離れて、堀北マイの雑誌を手にとって読み始めた。
だけど、目の前に広がる肌色は全然頭に入ってこなくて、結局俺は完全下校時刻までそのままイライラとした気持ちをそのまま手持ち無沙汰にしてひたすら雑誌を眺め続けた。










文化祭の二日前だったか…?
ちょうど駅を降りたら近くでナンパみたいな感じで声かけられてる小さい女がいたんだよ。
しかもどっかでみたことのあるような服着てよ。






「ほらぁ〜、お前怖いんだよ〜、怖がっちゃってんじゃーん。」










「えー、ごめんね〜?怖くないよ〜?」






ひとりは銀髪のちゃらちゃら耳に大量にピアス開けた男で、もうひとりは茶髪で鼻にピアスを開けた男。三人目のやつは金髪でちっちゃいやつ。






「あ、あの…。」






怖いのだろうか、女の方はか細い声で彼らへと






抗議の言葉を唱えようとしたのだろう。
その声が、やはり聞いたことのあるような声な気がして、ならなかった。
気になって俺はその女の顔が見えるところへと体を動かす。






「ん?あー、大丈夫大丈夫〜!日付変わるまでには返してあげるからさ〜!」






そして顔を確認し、それが奈々だと分かり俺は顔があいつから見えないようにそらそうとする。黄瀬のあの雑誌のときのあとくらいからなんだかギクシャクしていたからどうも話しかけづらかった。
まぁ、あいつなら大丈夫だろ、とそらすついでに帰ろうとしていた。
だが、そのあとに銀髪の男が奈々にした行動に目を見開いた。そして、自分でも驚くくらいイライラしていたのに気がついた。
…てめぇ、誰の腰に手ぇ回してやがる…!
だが流石にこんなところで怒りを爆発させるわけにはいかない。
それにしても腰に手を回されておとなしくしているあいつは何やってんだ。
極めつけにため息なんかついてやがる。
だが、それが銀髪男の起爆剤となったのだろう。





「おいおい、さーすがに気の長い俺でもその反応はいただけないなぁ…?」












「!?」










その男が、その汚い手で、奈々の顎を無理やり掬い上げる。
そしてだんだんとあいつの唇が奈々の唇へと近づいていくのを見て、我慢をする限界を迎えた。
俺はすぐさま走り出して、そいつらの間に割って入って奈々から銀髪男を引き剥がした。
流石に殴りはしなかったが、自分の背中の後ろに奈々を隠して、目の前にいる男たちをギッと睨むと、根性がねぇのかわからねぇが、こいつらは






「くっそ、てめ…覚えてろよ!」





なんていう負け犬みたいな言葉を吐いて去っていった。
ざまぁみやがれ。
そして後ろに隠した奈々がこちらを見つめている気配がした。
…だが俺はそのまま振り返ることもせず、そのまま奈々を置いて去っていった。
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