ブルーすかい。

□ミネラルウォーター
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バッと目を覚ます。
そして、起き上がる前に時計を確認したが、そこまで眠っていなかったらしい。
現在午前11時。眠る前に最後に時計を見たのが10時40分だったので、20分そこら寝ていたのか。
そこまで疲れるようなことしたっけかな…と思い、よいしょ、と立ち上がるのだが…。







「…え?」






何やら声も違う気がするし、何しろ目線がいつもと違う。
バッと体を見るといつも視界に映っていたあのくりくりとした栗毛はなく、ぱっつんぱっつんになった制服。
一歩間違えば変態に見えかねない感じのあのきわどい感じ。
例えて言えば、さつきのあの制服を敦がきた感じ。…いや、現実的に言っちゃえば着れないけど…。
ボーイをしている子たちがうっかり飲み物をこぼして着ているものを汚しても大丈夫なようにこの裏方倉庫の中には帝光中のワイシャツとズボンのストックがある。
一応この変態じみた格好よりかはマシだろうと、私はそのワイシャツとズボンを手に取り、誰も来ないことを確認してから着替えた。
それにしてもこの感じ…とても懐かしい気がしてならないのだが、まさか…ねぇ?
とりあえず着替えてから倉庫から出る。
そして急いでトイレに出かける。
一応男の格好をしているため、誰もいないことを確認してから女子トイレへと入る。
そして目の前にある鏡に映った自分を見て、絶叫することになるのはわかりきったことだった。






*****************








「…ど、どうすればいいんだ…。」







まず現状を説明すると、なぜか私はこの世界の私の姿ではなくて、元の世界の私の姿に戻っている。
しかもなぜかイケメン度が増している。あれか、黒バスマジックか。
格好が格好だからかわからないが、どこからどうみても男。しかもそのへんの男よりイケメンときた。
そして声も若干補正がかかって低くなってるし、身長も多分170位ではなかろうか。
うーん、と悩んでいても仕方がないと思い、一旦体育館へと行くことにする。
裏方の仕事はあらかた終わったし、ほうっておいても大丈夫だろうと思う。
それに、この姿を知っているのはキセキの6人とさつきだけなのだ。
とりあえず、さつきを探して事情を説明せなばならない。そのあとに探したほうがいいのは赤司くんだろう。
というか生徒会でフラフラしているあの人を見つけることは可能なのだろうか…?
まぁ、考えていても仕方ない、その足でとりあえず体育館へと入った。
するとそこは想像以上の熱気で外だとブレザーをきていないと寒いくらいだが、ここはワイシャツでも大丈夫なくらいだった。
す、スーツきてるあの人たち大丈夫かな…?
さて、この暗闇の中からさつきを見つけることはできるのか?と思っていたが、案外あのピンクの髪色は暗闇の中でも目立ち、すぐに見つけることができた。
…が、声をかけてからが大変だった。







「さつき。」







とりあえず、体育館の中では声が反響して結構騒がしいので、呼んでから肩を叩く。
そうすればそりゃこちらを見てくれるわけで、さつきはくるりと私の方を向いてくれた。
が、やはり見たことがない顔だったためか、彼女は目を見開き、私のことをまじまじと見つめてくる。







「な…奈々…!?」







「あー…うん、よかったわかってくれて…。」







案外、さつきもすぐに私に気づいてくれて、ほっとした。
その直後、キーンコーンカーンコーンと学校のチャイムがなり、お昼休憩に入ったことを告げた。
バスケ部の出し物は午前の部、午後の部と分けており、次の開始予定は午後1時だ。
とりあえず午後12時から午後1時までは選手たちの休憩時間と題してお昼休憩をとることにした。
それにしても大盛況過ぎて明日、黒子くんあたり倒れるんじゃないだろうか。
順番待ちをしていた人たちに1や2と書いてあるプレートを渡し、1から順に試合をすることができるようにあらかじめ渡しておいた。
そして、体育館からすべての人に出てもらい、バスケ部員たちは休憩をとることになった。
掃除等も行う予定なので、一旦暗幕を全て開く。
そうなると明るくなった体育館の、さつきの隣にいる見知らぬ男のようなやつに自然と目が行くわけで。
いや、さつきが誰か知らない男といるから注目したのだろうが、それが全く見たことがないやつだったので余計に注目を浴びたのだろう。
が、一般部員ではなく、キセキと呼ばれる人たちはその男のようなやつに見覚えがあったらしい。
ちゃんと私のことを覚えていてくれたらしい。
だから、涼太や真ちゃん、大輝に好戦的な目で見られた時には悪寒が走った。
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